2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞機能を成熟化する超分子介在型成長因子導入表面の開発
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16K16399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
有坂 慶紀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70590115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超分子 / ポリロタキサン / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、α-シクロデキストリンとポリエチレングリコールからなるポリロタキサンを基盤とした表面上において、シクロデキストリンの貫通数に依存して種々の細胞の細胞骨格形成が調節できることを報告している。また、遊離の硫酸化ポリロタキサンはヘパリン結合性成長因子である骨形成タンパク質(BMP-2)と複合体を形成して、その活性を亢進することを明らかにしている。そこで本研究課題では、ヘパリン結合性成長因子を導入した硫酸化ポリロタキサン被膜表面を作製し、成長因子活性の持続的強化と表面分子運動性による細胞骨格形成制御の両方による細胞機能発現の促進を目的としている。平成28年度は、シクロデキストリンの貫通数が異なる硫酸化ポリロタキサン表面の作製法およびヘパリン結合性成長因子の表面導入法の確立を行った。具体的には、α-シクロデキストリンを貫通したポリエチレングリコールの両末端に連鎖移動剤を修飾したポリロタキサンを用いてベンジルメタクリレートの可逆的付加開裂連鎖移動重合を行い、ABA型ポリロタキサントリブロック共重合体を合成した。α-シクロデキストリンの貫通数は、ポリエチレングリコールとα-シクロデキストリンの仕込み比によって調節した。ABA型ポリロタキサントリブロック共重合体のα-シクロデキストリン部位を硫酸化した後、このポリマーを細胞培養用ポリスチレン製基板に被膜することで硫酸化ポリロタキサン表面の構築に成功した。この硫酸化ポリロタキサン表面との静電的相互作用を利用してヘパリン結合性成長因子である骨形成タンパク質(BMP-2)の表面導入を行い、超分子介在型成長因子導入表面を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、本研究課題の基盤材料となる硫酸化ポリロタキサン表面の構築に成功した。ほぼ当初の予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に合成した硫酸化ポリロタキサン表面を用いて、ヘパリン結合性成長因子の表面導入と表面分子運動性が与える細胞機能・応答への影響について、免疫染色および遺伝子発現解析をもとに評価する。
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Causes of Carryover |
成長因子の購入費として予算を使用する予定であったが、硫酸化ポリロタキサン表面の作製を重点的に行ったため、成長因子の購入を次年度に保留した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の実験において、成長因子の購入費として使用する。
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Research Products
(3 results)