2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞機能を成熟化する超分子介在型成長因子導入表面の開発
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16K16399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
有坂 慶紀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70590115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超分子 / ポリロタキサン / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状分子であるα-シクロデキストリンと線状高分子であるポリエチレングリコールとからなるポリロタキサンを被膜した表面(ポリロタキサン表面)において、ポリロタキサン骨格に由来する表面分子可動性に依存して種々細胞の細胞骨格タンパク質形成が調節できることを報告している。本研究課題では、ヘパリン結合性成長因子を導入したポリロタキサン表面を作製し、成長因子シグナルの亢進と表面分子可動性によるメカノシグナルの調節の両方によって細胞機能発現を促進することを目的としている。 平成29年度は、分子可動性の異なる硫酸化ポリロタキサン表面に骨形成因子(BMP-2)を導入し、骨芽前駆細胞の骨芽分化誘導実験を行った。培養24時間後における骨芽前駆細胞の初期接着は、ポリロタキサンの硫酸化・表面の分子可動性・BMP-2の表面導入に関わらず、すべての表面間で有意差が認められなかった。しかしながら、細胞増殖性においてはBMP-2の表面導入と分子可動性の低下によって促進されることが明らかとなった。また分子可動性の高い表面においては細胞増殖が抑制され、一週間以上培養を続けてもコンフルエントに達することができなかった。このような表面を用いて骨芽前駆細胞の骨芽分化誘導を行ったところ、低い分子可動性・硫酸化・BMP-2の表面導入・骨芽分化誘導培地使用の4条件を満たしたポリロタキサン表面のみにおいて、アリザリンレッドSの高い染色性とocn、alp、runx2遺伝子の高発現を確認した。この結果は、ポリロタキサンの分子可動性によるメカノシグナル調節と表面導入したBMP-2の液性因子シグナルの増強によって骨芽分化が相乗的に亢進されたことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成長因子を導入したポリロタキサン表面を用いることによって、成長因子シグナルの増強とポリロタキサンの分子可動性によるメカノシグナル調節による細胞分化の促進が可能であることを明らかにできたことより、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、成長因子を導入したポリロタキサン表面を用いて間葉系幹細胞の分化制御を試みる。特に、再生医療への応用が高く期待されている間葉系幹細胞の未分化維持について、ポリロタキサン表面を用いて取り組む。また併行して、肝臓由来細胞や血管内皮細胞などの種々の細胞の機能発現および成熟化に適した表面設計についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
硫酸化ポリロタキサン表面による骨芽分化誘導の実験を重点的に行ったため、間葉系幹細胞などの分化誘導培地・成長因子・細胞の購入費を次年度に保留した。
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Research Products
(5 results)