2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規に開発した高伸張性生分解性ポリマーを足場とした血管再生医療技術の確立
Project/Area Number |
16K16400
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西塚 隆伸 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20725535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PHA / 人工血管 / 足場材料 / 新規生体吸収性材料 / ラット血管損傷モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、分子量80万という旧ロットのPHA(ポリヒドロキシアルカノエート)では、紡糸に成功した。分子量300万というさらに高分子量のPHAならば「より高い伸展性と耐久力」を兼ね備えており人工血管に最適であるので、現在その巨大培養槽作成を共同研究先の三菱ガス化学にて行っている。30リットルまでの培養槽作成はすでに行えており、現在500リットルの培養槽を作成中である。大量供給が可能となれば、高分子量のPHAを紡糸し人工血管を試作する工程、さらには血管損傷ラットに適用する実験に進むことが可能となる。 血管損傷ラットモデルの確立は今年度行った。具体的には、大腿動脈の中へカテーテルを挿入後、腹部大動脈にこれを誘導したのち、大動脈の近位と遠位をクリッピングして、Ⅰ型の膵エステラーゼ(Sigma社)15ユニットを30分投与することでおこなう。 分子量80万の旧ロットPHAを紡糸したものでは、今年度すでに人工血管を試作し、血管損傷ラットに適用を試みるところまでは行っているが、今後は、高分子量PHAの大量供給が可能になるのを待ってから、それによる組織再生足場材、既存の生体吸収性材料であるPGA(ポリグリコール酸)による足場材、伸展性のないPHAの一種であるP3HB(3-ヒドロキシ酪酸)による足場材をそれぞれ血管損傷ラットに適用し、(1)血栓形成の有無,(2)血管組織再生の程度、(3)炎症の程度(fibroblastの数、マクロファージの数、等)などを評価・比較していく必要がある。
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