2016 Fiscal Year Research-status Report
肺炎治療の為の新規benzoxaborole誘導体専用ナノ粒子の開発
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16K16402
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小土橋 陽平 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (60723179)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機能性高分子 / DDS / バイオマテリアル / ベンゾオキサボロール / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
現在, 我が国の肺炎による死者数は12万人を超え, 死因の第3位となっている(人口動態統計, 厚生労働省). 原因微生物としては, 細菌, 真菌, ウイルスなどが挙げられる. 近年, ホウ素を含有した5員環の化合物であるベンゾオキサボロール誘導体に様々な抗菌性があるとして注目されている. 本年度は, ベンゾオキサボロール(benzoxaborole)基を含有するモノマーおよびポリマーを合成することに成功した. モノマーに関して, 汎用性を高める為, (メタ)アクリレート型として設計した. ポリマーはリビングラジカル重合法を用いて重合し, エチレングリコール系のモノマーと共重合することが可能であった. ゲル化を起こさせる為, 合成したベンゾキサボロール基含有ポリマーと, ヒドロキシル基を含有する市販のポリビニルアルコールを混合したところゲル化には高濃度やアルカリ性など条件が必要であることが明らかとなった. そこで, より温和な環境でゲル化を起こさせる為, ジオール基を有するモノマーを合成した. モノマーは精製不要な完全水系にて調製することに成功した. 合成したジオール基を有するポリマーは, ポリビニルアルコールと比較してベンゾオキサボロールとpH7.4の条件にて強く相互作用を示すことが示唆された. これらの結果についてまとめた論文を執筆中である. さらに, ベンゾオキサボロール基含有ポリマーとジオール基を有するポリマーを混合することでバルクゲルおよびフィルムを成形することにも成功した. 本手法は既存のヒドロキシル基含有ポリマーに簡便に機能性を付与できることが見出され, 現在別のプロジェクトとして共同研究が進行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった, ベンゾオキサボロール基を含有するモノマーおよびポリマーの合成に成功したため. またベンゾオキサボロール基含有ポリマーと強い相互作用を示すジオール基を含有するポリマーを合成することにも成功している. これら2種のポリマーは, 混合することでベンゾオキサボロール-ジオールの相互作用に起因したゲル化を起こした. ドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用を指向する為, 現在バルクスケールからナノスケールまでのサイズ制御を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
DDSへの応用に向け, 合成した新規高分子によるナノスケールの粒子調製を行う. 自己集合体, ゲル, ハイパーブランチなど種々のナノ粒子を調製し, 薬物であるベンゾオキサボロール誘導体の内包および放出挙動について検討する. 合成した高分子キャリアが, ベンゾオキサボロール誘導体の構造によらず高い内包率を有することを証明できれば, インパクトの高い研究として報告することができる.
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