2017 Fiscal Year Research-status Report
肺炎治療の為の新規benzoxaborole誘導体専用ナノ粒子の開発
Project/Area Number |
16K16402
|
Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小土橋 陽平 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (60723179)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 機能性高分子 / DDS / バイオマテリアル / ナノゲル / benzoxaborole |
Outline of Annual Research Achievements |
近年ホウ素を含有した5員環の低分子化合物であるbenzoxaborole誘導体に、抗炎症性を含め様々な薬効があるとして注目されている。しかしながら、薬物であるbenzoxaborole誘導体をいかにして目的部位に送達させるかといった報告は皆無であった。申請者は、ドラッグデリバリーシステムに基づいたbenzoxaborole誘導体専用の高分子ナノ粒子の開発を目指す(平成28年度~平成30年度)。 平成29年度は、基盤技術となるナノ粒子の調製方法について、簡便かつ迅速にナノ粒子をデザインおよび調製することが可能なナノ粒子調製キットの開発に成功した[Polymer Chemistry, 8, 7311-7315 (2017)]。キットから用途に適した高分子を選択し水へ溶解、37℃にて15分程度保温することでナノ粒子が調製される。この手法は、本申請の目的であるbenzoxaborole誘導体専用の高分子ナノ粒子の調製にそのまま適用することができる。 また平成28年度に開発した、benzoxaborole基と結合可能なジオール基を有するポリマーを用い、ナノゲルを調製することに成功した。このナノゲルは、benzoxaborole誘導体を内包することができ、その放出量をpHにより制御可能であった。このpH応答性は、肺炎患部における低pHを想定している(in preparation)。一方、コントロールである2-Hydroxyethyl methacrylateを用いたゲルではbenzoxaborole誘導体の内包量が低く、またpHによる選択的な薬物放出は観測されなかった。これらの結果から、開発したジオール基を含有するナノゲルはbenzoxaborole誘導体専用のキャリアとしての応用が期待される。しかしながら、現在までのところジオール基含有ナノゲルへのbenzoxaborole誘導体の内包量は数%であり改良が必要である。具体的にはナノゲルの構造および組成を制御することで内包量の増加を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった、benzoxaborole誘導体を内包可能なナノゲルの開発に成功している為。ナノゲルの大きさが数百nmであることを走査型電子顕微鏡にて観察している。内包したbenzoxaborole誘導体(薬物)は、酸性にて放出量が増加することが明らかとなった。これは、benzoxaborole誘導体とナノゲル内のジオールとの共有結合が切断される為と考えられる。この低pHは炎症部位での薬物放出を想定している。さらに、次年度に必要な微生物の実験環境設定およびプロトコルの作成にも成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、本申請の最終年度である。これまでに開発した高分子ナノ粒子(ナノゲル)が内包するbenzoxaborole誘導体の含有量の制御および選択性を明らかにする。また微生物への抗菌性試験を行い、目的である「肺炎の原因微生物である細菌および真菌の活動を抑制するbenzoxaborole誘導体専用の新規高分子ナノ粒子の開発」を遂行する。
|
Causes of Carryover |
必要となった試薬が海外からの輸入品であり、納品が本年度に間に合わなかった為。 次年度使用額については上述の試薬を購入する。
|