2017 Fiscal Year Research-status Report
光音響技術を用いた血液酸素飽和度分布画像化装置の高精度化及び性能評価
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16K16413
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
平沢 壮 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (60583086)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血液酸素飽和度 / 光音響 / 光超音波 / マルチスペクトル / 周波数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,血液中のヘモグロビンを高コントラストかつ高空間分解能に描出可能な光音響イメージング技術を用いて,生体表面から10-20 mmの深度を走行する血管内の血液酸素飽和度を計測する技術を開発することを目標としている。このためには,複数の波長の励起光を用いてを用いて光音響信号を観測し,各励起波長における血管内の血液の吸光度を正確に求める必要がある。従前の手法(振幅法)では,血管と体表との間に介在する生体組織における光減衰が誤差要因となる問題があった。本研究では,光音響信号の波形情報を利用して,血液の吸光度を算出する手法(波形法)を提案している。 波形法における技術課題として,吸光度以外に信号波形に影響を与える要因(血管サイズ)との切り分けと,生体組織を伝播する過程での信号波形の変化がある。前者についてはシミュレーションにより血管サイズと吸光度がそれぞれ光音響信号波形に与える影響を分析した。シミュレーションと同様の条件での実験を実施し,シミュレーションと実験との間での一致を確認した。後者については,信号波形の変化の影響を補償するための信号解析法について検討した。 上記と並行し,光音響イメージング装置の画質及び感度を向上するための信号計測法に関する検討を実施した。 また,実験動物から採取した血液を用いたファントム及び,実験動物の血管内の血液を対象にした,光音響データを取得する実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに試作した広帯域超音波探触子を用いてファントム実験を実施し,前年度までに実施したシミュレーション結果との一致を確認した。これにより,光音響信号波形と吸光度との関係について,実験とシミュレーションにより確認できている。次年度に,光音響信号波形を分析して得られるパラメータの中から,吸光度の同定に最も適したものを選択することで,波形法による吸光度計測を高精度化できる見込みである。 また,実験動物から採取した血液を用いたファントム実験及び,実験動物を対象とした動物実験の実験系に関して,予備実験により確立済みであり,円滑に実施できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度まで煮えられた知見に基づき,光音響信号波形から吸光度を高精度に計測する手法(波形法)を改良する。実験動物から採取した血液を用いたファントムを対象に,複数の光波長で光音響信号を観測し,波形法により吸光度を求めることで,血液酸素飽和度を算出する。光音響信号から算出した血液酸素飽和度と,血液ガス分析装置で計測できる血液酸素飽和度とを対比して,波形法による血液酸素飽和度計測精度を評価する。さらに,従来の光音響信号の振幅を用いた解析法(振幅法)も適用し,波形法と振幅法とでの精度を比較する。
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Causes of Carryover |
(理由)広帯域超音波探触子の改良に伴う消耗品について,当初の想定よりも安価な物品によりで所望の効果が得られたため。 (使用計画)次年度に実施するファントム実験及び動物実験において必要となる消耗品を購入する。学会発表および論文投稿に必要となる経費として使用する。
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Research Products
(3 results)