2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着性・高弾性率ゲルマトリクスを用いた3次元包埋による細胞の休眠化
Project/Area Number |
16K16414
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
大藪 淑美 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 主任研究員 (80587410)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞の休眠化 / ゼラチン / 包埋 / 高弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞治療では、細胞を安全かつ簡易に短期に保存できる技術が求められている。先行研究で、ゼラチンのゲル化温度を30℃に向上させ、強固にゼラチンに包埋した皮膚線維芽細胞シートが室温で1週間形態を変えず、高い生存率を保持し再度培養に移行したことを見出した。本研究では、室温で硬い細胞接着性ゲルマトリックスに包まれた細胞が休眠化することを実証するとともに、その機序を明らかにして、細胞保存方法を革新することを目的とする。 当該年度は、休眠化現象の作用機序を明らかにするため、高ゲル化温度ゼラチンゲルの濃度を変えてゲル弾性率と温度を個別に制御した休眠化実験を行い、弾性率、温度(細胞の代謝)および貧栄養が休眠化に及ぼす影響を明らかにした。弾性率300Pa以上の高ゲル化温度ゼラチンゲルで細胞を包埋すると3日間細胞の形態が変化せずに生存率が高く保持された。また、包埋中の温度4℃および25℃で比較すると、25℃が形態が変化せずに生存率が高く保持された。さらに、培養液およびPBS(-)を用いたところ、いずれも形態変化もなく高生存率を維持していたため、栄養の存在に影響はなかった。 次年度では、高ゲル化温度ゼラチンを、PBSを溶媒として水溶液を調製し、25℃での休眠化実験により休眠化への移行の有無ならびに培養環境への速やかな移行を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倒立顕微鏡が故障し、修理に時間を要したため、休眠化条件の最適化したが、同一視野観察による休眠化の評価ができなかった。修理見込みの目途がたつと同時に、代替機を準備できたために、次年度早々に遅延試験が進められる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の計画が、機器の故障により、一部遅延しているが、代替え機を年度終了直前に準備できたため、次年度早々に遅延していた計画が終了する。次年度はこれまでの休眠化現象を、幹細胞でも確認できるかどうかを明らかにする。新たな評価方法の確立が必要ないため、円滑に実験が進められると考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度で評価に必要な機器が故障したため、実験を中断することとなり、本来の計画が遅延した。機器の修理が終了し、次年度に当該年度に予定していた実験を実施するために使用する。休眠状態と予想する細胞の代謝を測定する試薬の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)