2016 Fiscal Year Research-status Report
トヨタ生産方式による医療現場教育の標準化とカイゼン効果の研究
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16K16418
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 浩統 日本医科大学, 医学部, 助教 (50614830)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オンザジョブトレーニング / 医療安全 / 外科教育 / トヨタ生産方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研修医の習得すべき手技のうち、中心静脈カテーテル留置術に対し、トヨタ生産方式(以下TPS)を用いて、まず標準化を行った上で、オンザジョブトレーニングを行い、エラーやその内容、および修練期間終了時の到達度を判定、質の向上効果に関して調査するという計画で研究を行った。まず、当施設で各指導医において施行されている中心静脈カテーテル留置術の手順をビデオ撮影にて記録、収集した。それにより、動画データの蓄積が進んだため、TPSにおける動作分析の手法を用いて映像の分析を開始した。 上記の蓄積したデータから、各指導医の手技中の映像を、細かいステップごとに作業を分類(適応の確認、物品準備、ポジショニング、超音波検査での穿刺部位確認、清潔野の確保、局所麻酔、試験穿刺、etc.)し、指導医から直接のヒアリングなども行って、標準化の作業を進めた。 さらに、それぞれの急所(成功のためのコツ、安全のための工夫、起こりうるエラー、エラーがおこったときの対処方法など)のまとめも同時に行っており、その過程で、様々なカイゼンアイディアが出、それらを記録していることで、手技動作のbest practiceが導きだされつつある。これらの実績から、次の段階として、タクトタイム(各ステップの適切な所要時間)、作業配置(実施者、介助者、物品、器械などの配置)などを決定するための方向性が見いだされつつあり、それらを標準作業として定められれば、手技の質が高められるという可能性を見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中心静脈カテーテル留置術という一見、さほど複雑ではないように思われている手技においても、施行医の手技の個人差が多く、標準化のためには多くの議論を経る必要性が生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、中心静脈カテーテル留置術に対し、手技の標準化を確立した後、それをもとに、TPSを用いたトレーニングを行う。エラーやその内容、および修練期間終了時の到達度を判定、質の向上効果に関して調査する。 手技の標準化の過程で困難があった平成28年度の経験を生かし、TPSの専門書、専門家からの知見を積極的に取り入れることで、発展的な推進を目指す。
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Causes of Carryover |
作業標準化のための解析装置の購入を予定していたが、作業標準化の枠組みの作成段階で議論が生じており、解析装置の購入が遅延しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の議論を経て標準化を確立した後、解析装置の購入やTPSの専門書、専門家からの知見を積極的に取り入れるために使用し、研究の発展的な推進を目指す。
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