2016 Fiscal Year Research-status Report
筋スティフネスに対する超音波と電気刺激およびストレッチングの複合効果に関する研究
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16K16425
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森下 勝行 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50768611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超音波 / ストレッチング / スティフネス / 弾性率 / 筋硬度 / 受動トルク / せん断波エラストグラフィー / 関節可動域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,拘縮による関節可動域制限を効果的に改善するリハビリテーションの開発を目的とし,筋・関節スティフネスに対する超音波と電気刺激およびストレッチングの複合効果を検証している. 本年度は,研究計画に基づき,超音波とストレッチングの効果と至適な併用方法を検討した.対象は,健常若年男性15名とした.施行条件は,① 超音波刺激,② 静的ストレッチング,③ 超音波刺激中に静的ストレッチング,④ 超音波刺激後に静的ストレッチング,⑤ 静的ストレッチング後に超音波刺激 の5条件を実施した.超音波刺激条件は,周波数1MHz,強度2W/cm2,照射時間率100%,照射時間5分間とした.刺激部位は,下腿三頭筋とアキレス腱とした.静的ストレッチング条件は,多用途筋機能評価運動装置を用い痛みが発生しない最大の足関節背屈角度にて5分間実施した.評価項目は,① 超音波診断装置せん断波エラストグラフィー機能を用いた下腿三頭筋(腓腹筋内側頭・外側頭,ヒラメ筋)の弾性率,② 多用途筋機能評価運動装置を用いた足関節の受動スティフネス(受動トルクから算出)とした.結果,5つの施行条件において腓腹筋内側頭と外側頭の弾性率および足関節の受動スティフネスは施行前に比べ施行後で有意に低下した.超音波とストレッチングの併用方法としては,静的ストレッチング後に超音波刺激を施行する条件に比べ,超音波刺激後および刺激中に静的ストレッチングを施行する条件において腓腹筋内側頭と外側頭の弾性率および足関節の受動スティフネスが有意に低下した.超音波刺激後および刺激中に静的ストレッチングを施行する条件間では有意差は認められず,2つの施行条件は同程度の効果があることが示唆された. 本研究により,筋・関節スティフネスに対する超音波とストレッチングの効果と至適な併用方法が確認され,リハビリテーションの臨床応用に繋がる基礎的資料が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として,課題1.超音波とストレッチング,課題2.電気刺激とストレッチング,課題3.超音波と電気刺激およびストレッチング などの効果と至適な併用方法を段階的に検証する予定である. 今年度の研究計画である課題1は予定通り進行し,結果の一部については学会発表や招待講演にて紹介したため,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度において,超音波刺激とストレッチングの効果と至適な併用方法について確認できた.次年度は,電気刺激とストレッチングの効果と至適な併用方法を検証する予定である.第一に,効果的な電気刺激のパラメーターや刺激方法などの詳細について確認を進め,ストレッチングとの併用研究に繋げていく.最終年度(平成30年度)では,超音波と電気刺激のコンビネーション刺激とストレッチングの複合効果を検証するため,電気刺激のパラメーターや刺激方法の確立およびストレッチングとの併用方法を明らかにしていきたい.
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Causes of Carryover |
人件費・謝金費用が研究ボランティアの協力により未使用となったこと,予定していた学会発表を研究の進捗に応じて次年度に延期したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の発表費用,実験および解析等の遂行に必要な消耗品等の購入に使用する.
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