2018 Fiscal Year Research-status Report
術前リハビリテーション介入によるフレイル合併肺切除術患者の機能的予後改善の試み
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16K16428
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柳田 頼英 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (60771714)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / フレイル / 肺切除術 / リハビリテーション / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では高齢者人口が増加し続け、2025年には超高齢社会に突入すると言われている。その中で「フレイル(虚弱)」が大きな医学的・社会的問題となっており、これは肺疾患に対する肺切除術にも当てはまる。しかしフレイルが肺癌による肺切除術患者におけるフレイル合併症例の割合、ならびに術後経過にフレイルが与える影響についての報告は非常に少ない。そこで平成30年度は平成28年度より継続して、肺癌による肺切除患者におけるフレイル合併症例の割合、ならびに術後経過にフレイルが与える影響をテーマに検討した。 対象は聖隷三方原病院呼吸器外科において平成28年8月から平成30年4月までに肺切除術を施行した肺癌患者111例(67.3±9.0歳、男:女=68:43)とした。対象者の基礎項目、術前および術後(1週間、1ヶ月)における身体機能、手術関連項目、術後1ヶ月間の身体活動量を調査した。また、術前フレイルについては厚生労働省の基本チェックリストにて調査した。あわせて、これらの項目について、フレイル群と非フレイル群とで比較検討した。 術前は、フレイルなし58例、プレフレイル40例、フレイル13例であり、フレイル合併例は全体の11.1%を占め、プレフレイルを含めると全体の47.7%であった。 フレイル群とプレフレイル群、非フレイル群の比較では、フレイル群は統計学的に有意に年齢が高く、身長、術前の筋力(膝伸展筋力・握力)、および6分間歩行距離で低値を示していた。一方で、術後におけるリハビリテーション実施期間および在院日数、合併症発症率に有意な差はなかった。術後身体活動量に関して、フレイル群はフレイル群、プレフレイル群と比較して歩数、低強度ならびに中高強度身体活動時間が有意に低値を示した。術後1ヶ月の6分間歩行距離は術前と比較してフレイル群のみ有意に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自施設での倫理委員会申請と承認に時間を要したが、研究開始後は順調に対象者を増やして観察研究における目標症例数には達した。 一方、介入研究に関しては実施できておらず、最終年度に実施、検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
観察研究においては適切な統計解析に耐えられる対象者数の確保ができた。 メインアウトカムであったフレイル合併による臨床成績の差異は見出すことができなかった。術前リハビリテーションプログラムを作成しフレイル群へ術前介入を行うことで術後成績の改善を企図していたが、方向性の変更を余儀なくされた。 一方で、身体活動量や術後1ヶ月における身体機能に関してはフレイル合併群のみ低下を認めた。術後身体活動量の改善のための介入を検証していく。
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Causes of Carryover |
本年度分までの実績をもとに海外での学会発表、ならびに英語論文への投稿を予定していたが、結果の取りまとめに時間を要し、実施ができなかった。最終年度である次年度には国際学会発表の参加と論文作成を予定しており、その経費に前年度未使用額を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)