2017 Fiscal Year Research-status Report
剪断波エラストグラフィを用いた局所的な動脈硬化の評価および介入効果の検証
Project/Area Number |
16K16432
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岩本 えりか 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (40632782)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 剪断波エラストグラフィ / 血管コンプライアンス / βスティフネス / 脈波伝搬速度 / 血管スティフネス |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究1>目的:剪断波エラストグラフィで測定した血管のスティフネス(硬さ)の指標が、これまで用いられてきた血管スティフネスの指標と関連があるかを明らかにする。 従来の血管スティフネスの指標としては、血管コンプライアンス、βスティフネスと脈波伝搬速度(Pulse wave velocity;PWV)を用いた。若年者を対象に、剪断波エラストグラフィを用いて、大腿動脈のヤング率を算出した。さらに、血管コンプライアンスとβスティフネスの算出のために、血圧、大腿動脈の血管径の変化を測定した。また、全身の血管の硬さの指標として、腕-足首間脈波伝播速度(baPWV)を測定した。現在、結果を解析中である。
<研究2>目的:急性の下肢自転車運動前後で剪断波エラストグラフィと従来の血管スティフネスの指標(血管コンプライアンス、βスティフネス)の変化を明らかにする。 従来の血管スティフネスの指標は急性の運動後に変化することが報告されている。このことは、従来の血管スティフネスの指標は、器質的な要素だけでなく、機能的な要素の影響を大きく受けていることを示している。そのため、急性の下肢自転車運動前後で、大腿動脈の剪断波エラストグラフィと血管コンプライアンス、βスティフネスを測定し、変化を比較することとした。現在、運動強度を決定するための予備実験が終了したところであり、必要な消耗品などが揃い次第、本実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はエラストグラフィで測定した超音波画像の解析をするためのソフトを開発した。今年度はそれに加えて、従来の血管スティフネスの指標である、血管コンプライアンスとβスティフネスの解析ソフトを作成した。今までマニュアルで解析していたため、解析に大幅な時間を要していたが、ソフト使用により解析時間を短縮することが可能と考えられる。そのため、解析方法確立のために、やや解析が遅れているが、解析時間の短縮 により現在の進行状況においても計画実施に問題はないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで用いられてきた血管スティフネスの指標である、血管コンプライアンスは血圧と血管径の変化から計算されるため、血圧の影響を受けやすい可能性がある。また、血管コンプライアンスやPWVは、急性の運動により値が変化することから、器質的な要素に加えて、機能的な要素の影響を受けやすい可能性がある。これに対して、剪断波エラストグラフィを用いて測定した血管スティフネスの指標が、急性の運動や血圧増加によって変化するかは明らかではない。もし剪断波エラストグラフィも急性の運動や血圧増加によって変化しにくい指標であるということが示せれば、より血管の器質的な変化を反映する指標として用いることが可能となる可能性がある。
今後は、これまでに開発した解析方法や介入方法を取り入れつつ、研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
本年度実施する予定であった温熱刺激とストレッチの予備実験を行ったところ、個人差などのばらつきが大きく、温熱刺激とストレッチ前後に剪断波エラストグラフィを評価することは困難であると判断した。そのため、本年度は来年度に実施する予定であった急性の運動時の計画および予備実験を実施した。今後、本実験を実施する予定であり、助成金はこの計画に使用するものとする。
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Research Products
(7 results)