2016 Fiscal Year Research-status Report
フォーカルハンドジストニア症例の抑制性神経活動を促すリハビリテーション手法の開発
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16K16433
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
青山 敏之 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (30516571)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動イメージ想起 / 運動観察 / 経頭蓋磁気刺激 / 抑制性神経回路 / フォーカルハンドジストニア |
Outline of Annual Research Achievements |
フォーカルハンドジストニアとは,不随意的な筋の同時収縮を主徴とした疾患であり,現在までのところ有用な治療法は確立されていない。近年の報告では,その病態に抑制性の神経機能の低下が関与する可能性が示唆されている。このような背景から,本研究では,フォーカルハンドジストニアに対する抑制性の神経機能の改善を目的とした新しいリハビリテーション手法を確立するため,動画観察下での運動イメージ想起による神経生理学的効果について特に抑制性の作用の観点から検証することを目的とした。 これまでに動画観察下での運動イメージ想起がもたらす抑制性の作用について,経頭蓋磁気刺激の単発刺激,二連発刺激,F波を用いた3つの実験を行った。これら一連の研究結果より,動画観察下での運動イメージ想起は,皮質運動野における抑制性神経回路を介した相反抑制,周辺抑制を導く可能性があることが明らかとなった。 この結果は従来まで明らかにされてこなかった運動イメージ想起による抑制性の作用とそのメカニズムを明示した初めての研究であり,フォーカルハンドジストニアをはじめ,抑制性の神経機構に問題を抱える患者に対するリハビリテーション手法として,本手法が有用である可能性を示唆するものである。 今後,健常者を対象として更なるメカニズムの解明を進めるとともに,フォーカルハンドジストニア症例を対象とした臨床研究を展開していくことにより,その効果検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していたすべての研究は予定通り終了しており,当初の仮説に近い結果が得られている。現在,29年度実施予定の研究について,準備を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,これまで得られた運動観察下での運動イメージ想起による抑制性の効果を修飾する手法を検証することで,臨床応用に向けた更なるメカニズムの解明を進める。研究が順調に進めば,症例を対象とした臨床研究を前倒しして進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度初めに保守サービス費用の支払いが必要なため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な機器の購入は既に済んでおり,被験者への謝礼金と学会参加費,論文投稿,掲載料が中心となる。
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