2016 Fiscal Year Research-status Report
脳出血後のスキル学習におけるマルチタスクの有効性と脳内作用機序の解明
Project/Area Number |
16K16445
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
玉越 敬悟 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (30632658)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 脳出血 / スキルトレーニング / マルチタスク / AMPA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、脳出血後のスキル学習おけるマルチタスクが運動機能回復および神経可塑性関連遺伝子に与える影響について検証した。実験動物にはWistar系雄性ラットを用いた.対象を無作為に偽手術群(SHAM群),脳出血+非運動群(ICH群),偽手術+スキルトレーニング群(SHAM+AT群), 脳出血+スキルトレーニング群(ICH+AT群)の4群に分けた.脳出血モデルは,コラゲナーゼを微量注入して作製した.スキルトレーニング群は,アクロバッティック課題を実施した.トレーニング内容は,格子台,縄梯子,綱渡り,平行棒,障壁の5課題とした.介入は,術後4~28日まで,各課題を1日4回実施した.感覚運動機能評価にはmodified limb placing と postural instability testを用いて経時的に実施した.脳出血後29日目に深麻酔下で潅流脱血を行い,両側の大脳皮質感覚運動野を採取した.リアルタイムPCRを用いて,AMPA受容体サブユニットであるGluR1,GluR2,GluR3,GluR4のmRNA発現量を解析した.定量方法はΔΔCt法を用いた.運動機能評価から前肢の運動機能障害についてICH+AT群は,ICH群より有意な改善を示した.AMPA受容体サブユニットのmRNA発現量の解析から,傷害側大脳皮質の全APMA受容体サブユニットにおいてICH+AT群は,ICH群より有意に高値を示した.本研究から脳出血後のスキルトレーニングによる前肢運動機能回復の促進は,傷害側大脳皮質感覚運動野の全AMPA受容体サブユニットが関与していることが示された.AMPA受容体はシナプスの伝達効率を上げる役割を担っていることから,脳出血後のスキルトレーニングは長期増強を誘導し,機能回復を促進させたと考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は脳出血後のスキル学習におけるマルチタスクの有効性について検証したが、シングルタスクとの比較は現在検証中であり、当初計画よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳出血後のスキル学習におけるマルチタスクとシングルタスクが運動機能回復に与える影響について比較検証を行い、機能回復への影響に違いが見られた場合、脳内改善機序の検証を行う。
|
Causes of Carryover |
比較検証のための介入実験を翌年度以降実施するため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象とする実験動物の購入費として使用予定である。
|
Research Products
(3 results)