2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの感覚機能の回復を促す新たなリハビリテーション手法の開発
Project/Area Number |
16K16446
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
齊藤 慧 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (80707315)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 感覚機能検査 / 体性感覚誘発電位 / 末梢電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のテーマである感覚機能には、一次体性感覚野が重要な役割を担っていることが知られている。本年度は、末梢電気刺激を指尖に与えた後に生じる一次体性感覚野の神経活動の変化について脳波計を用いて検証し、感覚機能向上に関係する神経生理学的メカニズムの検討を行った。指尖への末梢電気刺激は感覚機能を向上させる効果のある刺激設定を用いて行い,その刺激前後の体性感覚誘発電位を記録・比較した。その結果、末梢電気刺激を指尖に与えることで、一次体性感覚野に存在する皮質内抑制回路の活動性が変化することが明らかとなった。すなわち、末梢電気刺激後に生じる感覚機能向上には一次体性感覚野における皮質内抑制回路の活動性変化が関与している可能性があることが示唆された。 また、上記脳活動計測と並行して、感覚機能に生じた変化を鋭敏に検出することができる検査装置の制作も行った。本装置は幅の異なる縞が刻み込まれたドーム状の機器の方向を検査指で判別し回答するものであり、その正答率と反応時間を計測することができる。本装置を用いることで、本研究の主たる目的である感覚機能の回復を促す新たなリハビリテーション手法の効果検証を高精度かつ客観性をもって遂行することが可能となる。現在、予備実験として、感覚機能の向上をより鋭敏に検出することができる刺激幅の検証等を行っている。 来年度は感覚機能検査と脳活動計測を用いて、感覚機能向上を促す新たなリハビリテーション手法の開発に着手する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感覚機能を検査する装置制作の完成が想定よりも遅れたことに加えて、感覚機能を鋭敏に評価するために必要な刺激幅の確立に時間を要している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
感覚機能を評価するための刺激幅の確立した後、感覚機能を向上させるための効果的な介入方法を検討することを目的として、経頭蓋直流電流刺激と末梢電気刺激を用いた研究を計画している。
|
Causes of Carryover |
本年度は、実験装置の作成およびその装置を用いた評価方法の確立に注力し、当初計画していた海外学会への参加を控えたことにより次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、今年度得られた実験結果を国内外での学会で発表予定である。また、感覚機能を評価するための刺激幅を追加購入することを検討している。
|