2016 Fiscal Year Research-status Report
視覚情報は脳卒中患者の歩行改善に有効か?―仮想空間を用いた新たな治療方法の開発―
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16K16448
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Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
駒形 純也 健康科学大学, 健康科学部, 助手 (20712798)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳卒中片麻痺患者 / 視運動性刺激 / 仮想現実空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中によりバランス能力や歩行能力の低下が生じることが知らており、バランス能力、歩行能力と運動・感覚麻痺等の関連性について多くの研究が行われてきた。脳卒中片麻痺患者は、視覚情報に依存する姿勢制御を行うことが報告されているが、視覚情報とバランス能力、歩行能力の関係について調べた研究は少ない。本研究では、脳卒中患者において仮想現実空間(バーチャルリアリティ:VR)における視野全体の動きが、静的姿勢・歩様に与える影響を定量的に解析し、歩行能力向上のための新たな治療プログラム開発を目的としている。 平成28年度前半はVR提示用ソフトウェア作成を行った。初年度は、視覚刺激スクリーン及び超短焦点プロジェクターを用いて視野全体にランダムドットパタンを提示し、左右・上下・回旋方向に連続し、移動させる視運動性刺激をVR環境とした。健常若年者に対して、ランダムドットパタンの静止画および視運動性刺激提示中の重心動揺測定を実施した。静止画に比べ、視運動性刺激時には軌跡長が有意に増大する結果を得られ、作成したVR環境が身体動揺を引き起こすために有効であることが示唆された。平成28年度後半はVR環境下で脳卒中患者の静的座位・立位姿勢応答測定を実施した。回復期病棟入院中の初発脳卒中患者13名に対して、左右および回旋刺激中の重心動揺測定を行った。非麻痺側方向への刺激では重心偏移がみられなかったが、座位・立位姿勢ともに麻痺側方向への刺激時には、身体重心が有意に麻痺側方向に偏移する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VR提示用ソフトウェアの開発は計画通りに進行した。しかし、視運動性刺激中の筋活動測定は、安静立位および座位姿勢であるため筋活動が少ないこと、重心動揺計上での測定であるためアーチファクトが多く混入してしまうことにより、測定方法を変更する必要が生じた。また、研究対象となる身体機能を有した脳卒中患者が予想以上に確保できず、被験者数が予定をやや下回っている。 今後も被験者数の確保に時間を要する可能性があるため、平成29年度より開始する予定であった、ヘッドマウントディスプレイを用いたVR提示用ソフトウェアおよび歩行解析装置作成を前倒しで開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
視運動性刺激中の筋活動測定を実施するため筋電計の改良を含め、測定方法の見直しを行い、脳卒中患者の姿勢応答測定を継続して実施していく。 平成29年度後半より、ヘッドマウントディスプレイを用いたVR下での歩行計測を行う予定であり、ソフトウェア開発、歩行解析装置作成を継続して実施していく。装置の開発が終わり次第健常者を対象として、VR環境が歩行に及ぼす影響を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)