2016 Fiscal Year Research-status Report
舌圧測定と動態解析による舌運動と咽頭残留の関連性および訓練有効性の検討
Project/Area Number |
16K16449
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
稲本 陽子 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (70612547)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 摂食嚥下 / 咽頭残留 / 舌圧 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食嚥下障害患者にとって,飲食物が嚥下後も咽頭内に残留する「咽頭残留」は,嚥下後の「誤嚥」を引き起こす因子として,リスクの高い病態であり,適切な評価と対応が必要である.しかし咽頭残留に対する訓練法はいまだ十分に確立されていない.特に舌運動能力と咽頭残留の関係性や咽頭残留軽減に対する舌運動の効果については十分に検討されていない.本研究は,近年米国で市販され始めた4 箇所(前舌・左縁・右縁・後舌)の舌圧を部位別に計測できる舌圧測定機器「Swallow STRONG(米国特許 #6702765 Swallow SOLUTIONS 社)」を用いて,咽頭残留を有する嚥下障害患者の舌圧計測および運動解析を行い,舌圧と咽頭残留の関連を明らかにすることである. 嚥下造影検査にて咽頭残留をみとめた嚥下障害患者4名に対してSwallow STRONGを用いて舌圧計測を行い,ターゲット圧を決定し筋力増強訓練を実施した.同時期に通常の嚥下訓練も行った.舌圧の経時的な変化および嚥下障害の重症度と食形態の変化を検討した. 4名中3名が舌圧計測および筋力増強訓練が可能であった.3名とも舌前方部の計測は可能であったが,舌後方部の計測が困難で,後方部の筋力増強は実施できなかった.患者の多くが,舌背挙上が不十分で舌後方部と圧センサーが接触しているのに関わらず圧が検出されない状態が観察された.舌前方部の圧は漸次的にターゲットの圧を増加させていくことができ,舌圧の改善をみとめた.安定した計測環境の設定が今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題1の健常中年・高年者を対象とした舌圧測定については,舌圧装置とマウスピースの購入および倫理申請の変更や対象者募集に時間を要し,当初の予定より全体的に遅れている.現状は,実験場所と対象者選出などの環境がすべて整い,計測を開始できている. 課題2の嚥下障害患者の舌圧測定と筋力増強に関しては、計画どおり嚥下造影で咽頭残留を要する患者を選定し,筋力増強訓練を開始できている.しかし,舌後方の測定が困難な患者が多く,前方部の測定と筋力増強のみしか行えていない.
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Strategy for Future Research Activity |
健常中年・高年者の舌圧測定を行い,これまでに報告されている米国のデータと比較するとともに課題2の嚥下障害患者の舌圧測定と筋力増強における基準値とする.また本邦で臨床的によく用いられている舌圧測定機による計測結果との比較も行う予定である. 嚥下障害患者の計測では,まず安定した計測を行っていけるように検討していく.特に舌背挙上が弱い患者に対する舌後方部の計測方法を工夫する必要がある.また筋力増強前後に320-ADCTによる嚥下動態評価を実施し,舌圧と咽頭残留の関連性および舌圧と咽頭収縮との関連性を検討し,舌筋力増強訓練の咽頭残留軽減の有効性の検討につなげていく.
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Causes of Carryover |
SwallowSTRONGとマウスピースをアメリカから購入するうえで為替の変動や手数料により,金額を予想することが困難であった.予定していたマウスピースの購入数を少なめにしたため予定していた金額より少ない使用額となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度分購入できなかった数を足したマウスピースを購入予定である.また計画どおり,もう1台舌圧測定機を購入予定する.
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Research Products
(6 results)