2016 Fiscal Year Research-status Report
深層学習を用いた環境音認識による聴覚障害者支援システム基盤の開発
Project/Area Number |
16K16460
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
白石 優旗 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (00389214)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴覚障害者支援 / 福祉工学 / 支援機器 / 音認識 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,難聴高齢者を含む聴覚障害者が安全・安心かつ質の高い生活(QOL)を送るため,近年様々な分野で大幅に識別性能を向上している深層学習と,多くの人々がインターネットを通して容易に協力可能なクラウドソーシングのしくみを用いることで,環境音を非常に高い精度で識別しユーザに伝達する,聴覚障害者支援システム基盤を開発するものである.本システムは,1)スマートフォンやウェアラブル端末を活用することで日常的に利用可能,2)クラウドソーシング技術により深層学習に必要な大量データを容易に確保可能,3)学習機能により新規の環境音に対応可能,という利点を持つ.本助成期間においては,環境音の中でも安全・安心に直結する警告音(クラクション,救急車等)を主な対象とする.
平成28年度は,警告音の中でも自転車のベル2種と救急車のサイレンを対象とし,深層学習を用いて環境音の中からそれら警告音を識別してユーザに伝達する警告音認識システムを開発した.具体的には,TensorFlowを使った学習システムとスマートフォン(iPhone)録音・識別アプリの作成,並びに,実環境での性能評価実験を行なった.結果,雑音の無い室内環境下では,自転車のベルと救急車の音に対して100%の検知・識別率を確認できた.しかし,騒音のある屋外の実環境においては,100cm離れてベルを鳴らしたときの検知率は平均で87%であった.ただし,警告音を検知後の平均識別率は99.6%(914/918)と高い識別率を得ている.また,クラウドソーシングによる学習データ採取システムについては,仕様についての検討を行った.本研究の実施により得られた成果については,複数の国内学会,国際会議,雑誌論文において発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,少数の警告音種を対象とし,日常雑音環境下で90%以上の精度で認識・伝達可能なシステムを開発した.また,本研究の実施により得られた成果については,複数の国内学会,国際会議,雑誌論文において発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル音の更なる収集を行い,認識対象警告音の種類を増やす.その際,評価実験の結果,騒音のある屋外の実環境において,100cm離れてベルを鳴らしたときの検知率は平均で87%であったため,検知閾値の設定を見直す等により検知率100%に近づける.また,自動車の大きな走行音が同時に入ると誤検知してしまうことがあったため,自動車の走行音を集めて第4クラスの対象音として学習する手法ついても検討する.また,クラウドソーシングによる学習データ採取システムの開発を行い,学習データの容易な収集を可能とする.
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Causes of Carryover |
物品を安価に購入できたことにより発生した少額の差引額を次年度に有効活用するため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に充当する.
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Research Products
(10 results)