2016 Fiscal Year Research-status Report
誤り動作・注視行動の定量化に基づくMCI早期スクリーニングの基盤技術開発
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16K16468
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山口 武彦 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 助教 (50713442)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軽度認知障害 / MCI早期発見 / Virtual Reality / 行動特徴量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,VR技術を用いて構築されたIADLタスク環境において計測したタスク中の手の振舞、視線(注視行動)情報を用いて,タスク中の誤り行動(Omission error:OE, Commission error:CE, Micro-error:ME)を識別するためのモデル開発を目的としている.提案モデルを実現するための技術的な課題として,①IADL タスクにおける MCI 患者の OE,CE,MEの行動,注視行動の定量化,② 定量化された OE,CE,MEから有効な特徴量を選定し,MCI 患者と健常者の誤り動作プロセスの識別モデルを開発する. 本年度は,非没入型のVR技術を用いたタブレット型IADL環境(VR-IADL)を開発し,ユーザビリティ評価を行った.実験は,アメリカのTemple大学の協力を得た(健常な大学生20名,健常高齢者7名,MCI患者7名).また,VR-IADLタスクにおいて,タブレット操作時の指の動きと視線の情報を計測した.それらの情報をビデオ解析により定性的に解析し,OE, CE, MEの発生個所の特定を行った.特定した個所の行動時系列データから特徴量を簡易的に算出し,機械学習を用いてMEを識別するモデルを実装した.結果,83.3%の精度でMEを識別できることが分かった.また,VR-IADL中の注視行動のデータは,健常な大学生のみ計測実験を行った.実験では,高齢者の認知機能を模擬するため,VR-IADLと並行してアルファベットと数字の組み合わせを発言させるデュアルタスクを行った.結果からは,認知負荷をかけた場合とそうでない場合では,視線の振舞いに違いが表れ,機械学習によるそれらの振舞の識別精度は,87%であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は,VR-IADL環境の開発とユーザビリティ評価に時間を費やした.また,MCI 患者,健常者を被験者としたデータ収集実験の実施,ビデオ映像解析による OE,CE, MEと注視行動の分類に関しては,おおむね予定通りに進める事が出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,OE,CE ,MEとそれに関連する注視行動の定量化の精度を上げると共に,有効な特徴量の選定を行う.また,ビデオ映像解析法との比較による感度評価,定量化された特徴量に基づく,OE,CE,ME と注視行動プロセスのモデル化,そして,健常者,MCI 患者の OE,CE 生起傾向のモデル化などを行う予定である.
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Causes of Carryover |
残額が少額であったため,購入できるものがなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は,翌年分の消耗品の購入に充てる.
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