2017 Fiscal Year Research-status Report
異なるセンサ情報を融合による介助式車椅子のアシスト力の生成と実装
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16K16476
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
小野寺 良二 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40460331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 車椅子 / 力覚情報 / 加速度 / 角速度 / フィルタリング / 介助動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
総務省の人口統計によれば2050年には総人口の約40%を65歳以上が占める。この高齢化は被介護者のみならず介護側にも及び、いわゆる「老老介護」が深刻な問題となっている。そのため、介護側の負担軽減のための支援機器の提案、QOLの向上のための支援技術が注目されている。本研究は介護側の負担軽減のために車椅子の焦点をあて、異なるセンサ情報の融合による車椅子の介助アシスト力の生成である、新たな支援技術の提案、支援機器の開発を行う。本年度は力覚センサ情報による車椅子形状の検討と運動センサ情報による車椅子操作の検証を行った。 車椅子形状については、力覚センサを高さ調整を可能としたハンドル部中央に設置し、前進時の作用力とモーメントを計測することでハンドル部の高さと介助者の操作力の関係を評価した。その結果、市販されている一般の車椅子のハンドル高さ約810mmより高くハンドルを設定することがよいことが示唆された。 また車椅子操作の検証では、多軸の運動センサを介助者の体表に数箇所貼り付け、操作動作時の並進加速度3軸と角速度3軸により介助力発生時との関係を明らかにした。運動センサから得られた情報を使い介助動作時の歩行を中心に解析を行った。特に歩行の状態を表す角速度成分は積分することでその状態をより正確に捉えることができるが、積分時のドリフトの影響があるためフィルタ処理の必要があった。本研究では、高域通過フィルタと相補フィルタでのアプローチし、それぞれの有効性を検証した。その結果、両者の有効性がほぼ等しく、処理がより簡易である2次の高域通過フィルタでも介助動作時の車椅子操作を把握できることを確認した。 上述の2つの結果より、それぞれの計測法、状態の取得法を用いることで介助時の力覚情報と運動情報を得ることができ、これらの情報を融合させた車椅子のアシスト力の生成が可能となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では介助者の歩行動作の他に、電動車椅子使用時の乗車者の加減速量の検証までを予定していたが、運動センサ情報からの慣性項の推定ためのフィルタ構築の検討が必要となったため、時間を要した。しかしながら、その推定法は確立しており、予定している検証実験を行うことで、通常の計画に支障なく対応が可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれで取得している力覚情報と運動情報を融合し、車椅子介助力のアシスト力の生成法を検討する。さらに、電動車椅子に実装しアシスト力の制御法を確立、試乗試験によりその有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の予定よりもメカニカル部品、電子部品の購入を抑えることができたことにより予算を削減できたため。 (使用計画)次年度における物品購入、謝金および学会等への出張旅費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)