2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16478
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 香奈子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (00760290)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歩行動作分析 / 足部機能評価 / 足底圧計測 / 無線通信 / リアルタイムモニタリング / 人間工学 / 計測工学 / 足部異常予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ヒトの日常生活中の足部状態や歩行動作を簡便にモニタリングし,具体的な定量評価を行うことで,人々の足元からの健康管理へとつなげる仕組みの構築を目的とした.平成28年度に作製した歩行機能評価デバイスは,ワイヤレスな状態でヒトの歩行中の足底部荷重状況や足部の動作の計測ができ,無線通信によりデバイス制御用のPCやタブレット型情報端末のアプリケーションソフトウェアに取得データの伝送が可能な仕組みとして構築した.これにより,日常生活中の歩行に着目した対象者の特徴評価を行うことができる. 平成29年度は上記開発デバイスの有用性の検証のため,フィールド実験を実施した.被験者は本研究プロジェクトのターゲットとなる健常者・高齢者52名であり,歩行機能評価デバイス計測データ,足部状態(アンケート,写真撮影),過去1年間の転倒歴の計測パラメータを取得した.フィールド実験の結果を基に,歩行中の足底部にかかる圧力分布や足部形状特徴と足部動作特徴との関連について分析を行った.実験より,開発デバイスが地域の健康教室や介護予防教室等を含めたフィールドにおいて活用可能であることを確認した.本デバイスは軽量で持ち運び可能であることから,実験室環境だけではなく様々な場面での活用が期待できる.さらに取得データの分析により,足底圧の荷重傾向と足部動作のパタン分類ができ,実験参加被験者個人の足部状態に着目した特徴量の抽出を行うことができた.例として,外反母趾を有する対象者や過去1年間の転倒歴を持つ対象者等の足部・歩行特徴を定量化することができ,計測データの可視化につながる評価方法を見出すことができた. 上記の研究成果より,次のステップとして計画している,歩行データ分析アルゴリズム構築のための評価パラメータの抽出を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,昨年度開発を進めたヒトの日常生活中の歩行機能を定量的に評価するためのデバイスを用いて実際の研究ターゲットとなる対象者の歩行特徴データを取得した.加えて,足部状態(アンケート,写真撮影),過去1年間の転倒歴の計測パラメータを取得した. 実験結果より,歩行中の足底部にかかる圧力分布や足部形状特徴と歩行時の全身の動作特徴との関連について調査することができ,取得データの分析を進めた.特に,外反母趾を有する対象者や過去1年間の転倒歴を持つ対象者等の足部・歩行特徴を定量化することができ,計測データの可視化につながる評価方法を見出すことができた. 以上より,本研究課題の進捗に関して大きな問題はなく,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施した歩行機能評価デバイスの開発により,ヒトの日常的な歩行機能の計測手法を確立することができ,平成29年度は本デバイスを用いて健常者・高齢者を対象に歩行動作データを多数取得することができた. 平成30年度は臨床や保健などに関わる実際の現場においても活用可能な評価デバイスの発展および,データ自動分析アルゴリズムの構築・検証を進める計画である.本計画において構築する分析アルゴリズムは開発デバイスの制御用ソフトウェアアプリケーションの機能に組み込み,リアルタイムに計測データの分析が可能なよう仕組みを確立させることで,歩行機能評価デバイスの機能性および有用性の向上を目指す.
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Causes of Carryover |
当初想定していたフィールド実験実施場所が変わり,旅費支払額が変更となったことと,見積り請求金額よりも低価格で物品を購入することができたため,研究計画経費との差異が生じたことから,次年度使用額が発生した.
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