2016 Fiscal Year Research-status Report
逆問題解法を用いた殿部組織厚みの簡易推定方法の確立
Project/Area Number |
16K16479
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
村上 知里 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第三部情報技術グループ, 研究員 (30733753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 逆問題 / 体圧分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、安価かつ簡易に座位時の生体内部組織変形を把握するために、体圧分布測定装置を用いた推定方法の基礎的検討を目的としている。体圧分布測定装置の測定情報のみを利用し、殿部の各組織厚みの値を逆問題解析として推定を行う。したがって、本研究の最終目標は、座位時における圧力分布から殿部組織の厚みを推定するアルゴリズムの構築することである。 目標達成のために、(1)二次元平面である体圧分布座標系と三次元空間である殿部座標系とのマッピング手法の開発、(2)皮膚表面圧力と生体の縦弾性率との関係のモデル化、(3)座位時における皮膚表面の圧力から殿部組織の厚みを推定するアルゴリズムの構築を実施項目とする。(1)は体圧分布測定装置から出力される分布情報から、センサ上の殿部状態(位置など)を明らかにするための手法である。(2)は(3)の推定アルゴリズムで利用されるパラメータを明らかにするための実験とモデル化である。平成28年度は(1)および(2)を実施した。具体的な実施内容は以下の通りである。 (1)体圧分布は骨突出部が高圧力値を示すことが知られている。予備実験における体圧分布測定結果を用いて、このような生体殿部の特徴が現れる体圧分布のセルを抽出することで、体圧分布平面を定義した。また、殿部骨格模型をCTスキャンすることで骨形状のデジタルデータを取得し、生体殿部空間を構築した。定義された体圧分布平面の垂線上に位置する生体殿部空間座標との関連付けを行った。 (2)生体の縦弾性率に関する文献調査を行った。実験は平成29年度に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、(1)二次元平面である体圧分布座標系と三次元空間である殿部座標系とのマッピング手法の開発、および、(2)皮膚表面圧力と生体の縦弾性率との関係のモデル化を実施する予定であった。前項の通り、(1)に関するマッピング手法は開発したが、(2)に関しては平成28年度の文献調査結果を基に平成29年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、(2)皮膚表面圧力と生体の縦弾性率との関係のモデル化、(3)座位時における皮膚表面の圧力から殿部組織の厚みを推定するアルゴリズムの構築を実施項目とする。 (2)では、(3)の推定アルゴリズムで利用するパラメータを参照するためのモデル作成のため、平成28年度の文献調査結果を基に実験を行う。また、(3)では、これまでに得られた結果を基にして、座位時における皮膚表面の圧力から殿部組織の厚みを推定するアルゴリズムの構築を実施する。推定アルゴリズムでは、皮膚表面圧力の測定値を出力変数、生体組織の厚みを未知の入力変数とした近似式を考え、逆問題的に解くことを考える。出力変数と入力変数とを関連付ける既知パラメータとしては、生体組織の力学特性値である縦弾性率を採用する。現時点では、標準的な組織の厚みを定義域とした制約付き最適化問題を解く予定である。この方法で適当な解に到達できない場合は他の逆問題解法を採用する。
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Causes of Carryover |
当初の計画に対し初年度における物品費および旅費の支出が減ったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
推定アルゴリズム評価用PCの購入、ハードディスクの購入、実験装置に関する消耗品等の購入、また、調査および学会発表の旅費として使用する予定である。
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