2016 Fiscal Year Research-status Report
児童期後半から青年期の子どもにおける『巧みな動き』に関わる運動能力の発達
Project/Area Number |
16K16481
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
内藤 景 福井工業大学, スポーツ健康科学部, 講師 (60757558)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アジリティ / 方向転換 / リアクティブアジリティ / 横断的発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、児童期後半から青年期における「巧みな動き」に関わる運動能力の発達段階を踏まえた指導構築に向け、アジリティ能力の横断的発達の特徴を明らかにすることである。これまでに実施されてきた新体力テストでは、「人・物の動きに反応して動く」、「力を調整して素早く動く」が関与する「巧みな動き」に関わる運動能力が評価されてこなかった。そこで、本研究ではアジリティ能力に着目して、子どもたちの「巧みな動き」に関わる運動能力の評価を行う。 平成28年度では、「減速と急加速を伴う方向転換能力」と「刺激に反応して素早く動く能力」を評価するテストの妥当性と信頼性を調査した。小学校4年生~中学1年生男女28名を対象に、方向転換能力テスト(5-0-5テスト)、リアクティブアジリティテスト、10m走、垂直跳、ドロップジャンプを実施した。ワイヤレススピード計測システム(WITTY)、反応アジリティ計測デバイス(WITTY-SEM)、マルチジャンプテスタⅡ(DKH社製)を用いて、運動遂行時間、跳躍高を計測した。リアクティブアジリティテストでは、左右の矢印による電気信号に反応して方向転換を行うRAT(arrrow)と、ヒトの左右への動きに反応して方向転換を行うRAT(human)の2種類を実施した。各種テストの級内相関係数(ICC)を検討した結果、5-0-5テストと10m走の運動遂行時間、垂直跳の跳躍高、ドロップジャンプ指数のICCは、0.75~0.86と高い値を示したが、RAT(arrow)のICCは0.10、RAT(human)のICCは0.19と非常に低い値であった。さらに、各種テスト結果の相関関係を検討した結果、RAT(arrow)はいずれのテストとも有意な相関関係が示されなかったが、RAT(human)は垂直跳の跳躍高、ドロップジャンプ指数、10m走タイム、方向転換走タイムとの間に有意な相関関係を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度では、主に小学生を対象に「減速と急加速を伴う方向転換能力」と「刺激に反応して素早く動く能力」の測定を実施した。この点においては、予定通りに遂行できたが、中学生から高校生年代の子どもたちや、ゴール型スポーツクラブに所属する子どもたちのデータ収集が進んでいない。被験者の確保に時間を要したことで、実験開始時期が大幅に遅れてしまったことが原因である。しかし、現在では被験者の確保の目途がたっているため、連絡を密にとることで計画通りに実験を実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施した、2種類のリアクティブアジリティテストの級内相関係数が非常に低い値であったことから、テストの信頼性を確保するために測定方法の再検証が必要になると考えられる。本研究で実施したリアクティブアジリティテストは、その他のクローズドスキル型の測定とは異なり、事前に予測ができないオープンスキル型の測定であることが、低い級内相関係数を示した要因である可能性も考えられるため、研究協力者とも協議をしながら、テスト方法の検討を行う。テスト方法の検討が実施でき次第、平成29年度では継続的に測定と分析を進め、アジリティ能力の横断的な発達傾向の検討を進めていく。しかし、被験者との実験スケジュールの調整に時間を要するため、当初に予定していた被験者数を減らす形で対応することを考えている。
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Causes of Carryover |
被験者の確保に時間を要したことで実験の実施が大幅に遅れたため、当初予定していた実験回数が減り、その分の検者に対する謝金を次年度に持ち越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施できなかった実験を、平成29年度の実験計画に組み込むことで謝金を使用し、合計の測定回数は当初の計画通りに実施する予定である。そのため持ち越した金額と合わせて計画通りに使用する。
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