2019 Fiscal Year Annual Research Report
The neuronal basis of motivation to exercise: Could exercise be a reward?
Project/Area Number |
16K16485
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山中 航 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (40551479)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動意欲 / 報酬 / ドーパミン / 線条体 / マイクロダイアリシス / 回転ホイール / ストレス / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運動の好き嫌いの個人差がなぜ生じるのかについて、その脳神経基盤の候補として中脳ドーパミンー線条体系が関与しているという仮説の検証を目的とした。研究期間を通じて「運動ができる」ということをラットが学習すること、また運動ができることを知らせる予測信号に対して、安静時よりも強いドーパミン放出が線条体で観察されるという結果を得た。最終年度においては、運動意欲を向上させるにはどうすれば良いのかといった問いに答えるため、脳内に表現される運動に対するモチベーション(運動意欲)に及ぼす要因について検討を行った。一般的に運動は脱ストレス効果を有することから、ストレスと運動意欲の関係に着目し、ラットを運動群、ストレス+運動群、対照(ストレスなし、運動なし)群に分類し、1週間の飼育期間の後、2週間の拘束ストレス(1時間/日、週5日)を課し、体重およびホイール回転数、ストレス前後の血圧および心拍数を測定した。ストレス負荷によって体重は減少・血圧は上昇した(Δ血圧 = 21.3 ± 4.1 mmHg、ストレス性高血圧)が、運動ケージで飼育したラットにおいてはそのような血圧上昇は抑制された(Δ血圧 = 12.7 ± 9.0 mmHg)。また、拘束ストレス解放直後においては、有意なホイール回転数(運動量)の変化は認められなかったが、2週間の拘束ストレス終了後数週間にかけて、ストレス+運動群ラットは、運動群ラットに比べ、有意な運動量の低下を示した。これらの結果は、ストレスは運動意欲の個体差を決める環境因子の一つとして寄与する可能性があること、特に一過性の拘束ストレスが長期的な運動意欲の低下をもたらす可能性を示唆する。
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