2017 Fiscal Year Research-status Report
構造的類縁プログラムを基軸とした野外教育プログラムの教育・治療構造の検討
Project/Area Number |
16K16489
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邉 仁 筑波大学, 体育系, 助教 (70375476)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 野外教育 / 自然体験プログラム / キャンプ / 教育学 / 臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、野外教育プログラムに関する研究は、場(状況)や個別性を考慮した質的アプローチと共に、教育・治療的構造の理論的検討が課題である。そこで本研究の目的は、児童期から青年期を対象に野外教育プログラムを実践し、自己成長の効果に対する定量的及び定性的検討を蓄積しつつ、そのプログラムの構造を理論的に定位することである。特に、平成29年度の研究課題は、(研究課題1)野外教育プログラムによるクライエントの[長期的]な自己成長効果の検証、および(研究課題2)野外教育プログラムによるクライエントの個別性への影響の検討であった。 (研究課題1)過去野外教育プログラムに参加した小中高生(26名)を対象に、そのプログラムに関して想起する場面・頻度・鮮明度などのデータを収集した。また、筆者がプログラムディレクターとして参画した野外教育プログラムに参加した大学生(約40名)を対象に、自己成長に関する指標を用いて、長期的な変容データを収集した。現在は、収集されたデータを整理し、統計的な分析を進めている。 (研究課題2)過去野外教育プログラムに参加した小中高生(26名)を対象に、そのプログラムに関して想起する場面が、現在の自己成長にどのように関連しているかについて、内省記述による質的データを収集した。現在は、収集された質的データの分析を進めている。 また、平成28年度課題に半構造化面接で収集された11名の質的データに関して、逐語データ(文字起こし)への変換作業が完了し、質的アプローチを援用した分析が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(研究課題1)において、[長期的]な自己成長効果の検証の方法論に関して、十分な妥当性を保証することが困難であった。そのため、収集したデータの分析・解析に関して、当初予定していた方法以外の工夫が必要となり検討を重ねている。 (研究課題2)において、先述したデータ収集以外に、別の調査対象者からアンケート調査と半構造化面接を行う予定であった。しかし、日程調整がつかず、調査が予定通り実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(研究課題1)に関して、平成30度においても引き続き、筆者がプログラムディレクターとして野外教育プログラムを実施する。その上で、再度、量的データの収集を行う。また、すでに収集した量的データの統計処理を行い、次年度収集される予定のデータと合わせて分析を試みる。 (研究課題2)に関して、質的データの分析を多角的に繰り返し、解釈の妥当性を高める。同時に、研究協力者にデータ解釈のトライアンギュレーションを行ってもらい、分析・解釈の妥当性を保証しなが分析を進める。 (研究課題3)に関して、比較対象とする代表的な基軸プログラムを最終決定する。そして、そのプログラムの教育・治療構造と野外教育プログラムとの類似・相違点について、(研究課題1)と(2)で収集されたデータを元に検討を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)国際学会等に参加し、資料収集等を行うことを予定していた。しかし、日程の都合がつかず、出張を見合わせたために未使用額が生じた。また、希望していた備品の納品が、プログラム実施日に間に合わないことが判明し、レンタルで対応をしたために未使用額が生じた。 (使用計画)国際学会等への参加に関わる旅費や資料収集、および購入を見送った備品購入に充てる予定である。
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[Book] 野外教育学研究法2018
Author(s)
永吉宏英、渡邉仁、他27名
Total Pages
246(119-132)
Publisher
杏林書院
ISBN
978-4-7644-1592-8