2018 Fiscal Year Research-status Report
創作ダンス指導における「動きをみる力」を高めるためのカリキュラムの作成と検証
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16K16491
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 朱音 静岡大学, 教育学部, 講師 (40609301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 創作ダンス / 即興表現 / 指導と評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現職の保健体育科教員が創作ダンス授業において、即興表現を指導する際の「動きをみる力」を高めるためのカリキュラムを考案することを目的としている。これまで申請者は、創作ダンス授業で即興的な動きを指導するための動きをみる観点を抽出し、創作ダンス授業の熟練指導者の指導の特徴を明確化してきた。しかしこれまでの研究は、熟練指導者の指導の特徴の明確化に留まっていることから、教師が学習者の動きの「何」をみて、「何」から情報を得ているのかといった教師の「視線」を明らかにしながら、そこに「即興的な指導」を提供できる「動きをみる力」を養うためのカリキュラムが必要と考える。 本研究で明らかにしたい指導者が学習者の動きの「何」をみて、「何」から情報を得ているのかといった指導者の「動きをみる力」は、授業内の「指導」と「評価」の場面で同時に起こる。指導と評価は一体のもとの捉えられることから、ダンスの授業で何を学ばせるのかという指導内容を明確にすることにより、指導者の「動きをみる力」をより確実に捉えることができると考える。先行研究の検討により、熟練指導者は取り上げた教材の特徴を理解したうえで、体を極限的に使う動きを引き出そうとすると共に、質感の異なる複数の動きを連続させて指導することに特徴があることがわかった。また、創作ダンスの技能とされる「ひと流れの動き」の十分な解釈が必要であると考える。そこで、「ひと流れの動き」とは何を示すのかについて、現在報告されている資料を基に考察を進めた。その結果、「ひと流れの動き」とは、動きと動きをつなぎ合わせて連続させ,誇張や緩急強弱を伴わせて変化させるといった「動きの工夫」のある一連の動きの流れを指すと考えられた。さらに、特に動きを変化させるためには,大小,強弱等の時間と力の双方が関連した視点を持つことで,変化のさせ方に多様性が生まれることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度は、昨年度に引き続きダンス授業で行われる指導内容と指導方法(どのような動きを引き出すために、どのような方法で動きを提示していくのか)を再確認した。先行研究をもとに熟練指導者の「動きをみる観点」を整理し、さらに「ひと流れの動き」の解釈を明確にすることにより、予定している実験の計画の変更を行った。また、今後行う実験の資料映像の検討を、複数の舞踊教育研究者と共に行った。さらに、実験で得られたデータを分析する項目を検討するなど、分析方法の検討を行った。 しかし、本研究の目的であるカリキュラム作成に向けては、まだその基礎資料に過ぎないことから、研究の進捗は遅いと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、これまでに得られた知見を基に、創作ダンス指導熟練者を対象に、即興表現指導時の学習者の動きをみるポイントを測定する。熟練指導者(4名)を対象に、学習者が踊る即興表現(2つの教材について2つの場面、それぞれ30秒程度)の映像を視聴してもらい、その際の眼球運動を測定する。その後、「動きをみる観点」を用いて動きの評価をしてもらい、熟練指導者が学習者の動きの「何」をみて「どのような観点」で評価しているのかを明らかにする。 被験者となる熟練指導者の選定は、ダンス指導に卓越した舞踊教育研究者(全国規模の講習会にて講師を行っていることを条件とする)とする。まずは予備実験を行い、研究計画をより緻密なものにしていく。
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Causes of Carryover |
研究計画に沿って研究を進めているが、本研究で予定する実験を行なうための準備として必要な基礎的な研究を継続して行なった。特に、実験に使用する資料映像(指導場面や指導内容)を検討するとともに、分析方法についても検討を行った。そのため、実験の実施に至らなかった。 使用計画としては、実験に必要なモニター・I pad等(被験者が資料映像を視聴するため)の、データ保存用のHD、編集ソフトを購入する計画である。また、調査に行くための旅費を計上する。
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