2016 Fiscal Year Research-status Report
体育授業における児童の言語活動を充実させる学習指導の検討
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16K16498
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
高田 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (00738411)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体育授業 / 言語活動の充実 / 学習指導 / 指導スタイル / 学習活動 / 学習成果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、体育授業において「言語活動の充実」を図るための学習指導として期待される誘導発見型指導スタイルの指導効果を検証することを目的として、2年間の研究計画で進行している。本研究を進行するにあたって、①誘導発見型指導スタイルが児童の「言語活動の充実」へ与える効果を検討すること、②教員養成段階の学生または初任教師で適用するための介入実験的授業を試み、その成果や課題を明らかにすることの2点を研究課題として設定した。 今年度は、主に研究課題①に取り組み、誘導発見型指導スタイルが児童の「言語活動の充実」へ与える効果についての研究を進めた。まず、同一教師によって異なる指導スタイル(「直接指導型」と「誘導発見型」)を適用した場合、児童の学習活動および学習成果に影響を及ぼすかについて比較研究を行った。そこでは、誘導発見型指導スタイルを用いた授業においてグループ内での教え合い活動が促進されたことが確認され、言語活動の充実を図る学習指導として効果的であることが事例的に明らかとなった。 次に、教師間の指導力量を考慮した比較研究を行った。その理由として、すべての教師が同一の指導スタイルを同じように適用できるとは限らず、発問のタイミングや児童の特徴、取り扱う教材等に関する知識量によって、児童の学習活動や学習成果に差異がみられると予想したためである。これについて、新潟市内の小学校で同一学年を担当するベテラン教師、若手教師の2名に、同一の授業内容、誘導発見型指導スタイルを用いた授業を実践してもらい、児童の学習活動と学習成果ついて観察・分析を行った。そこでは、発問-応答の時間や内容に違いが見られ、結果として運動学習の時間を侵食し、児童の学習活動に影響を及ぼすことが明らかとなった。つまり、初任・若手教師や教員養成段階の学生に対して、(授業または模擬授業等の)指導で活用できる手立ての必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、指導力量の異なる教師に対して、同一の指導スタイルを適用した授業実践の比較・検討を行う計画で、当初の予定通り2つの授業実践について、授業撮影からデータ分析までを行うことができた。しかし、さらにデータの信頼性・妥当性を得る必要があるため、調査対象を追加し、新たに2つの授業実践について撮影を行った。現在、追加対象データの分析を行っており、進行状況を「おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、前年度に追加調査を行った授業実践データを分析し、指導効果や指導力量の違いによる児童の学習活動・学習成果の特徴について明らかにしていく。また、上記データをもとに教員養成段階の学生あるいは初任教師が誘導発見型指導スタイルを有効に活用するための手立てを探り、介入実験授業を通して教員養成段階の学生、初任教師の誘導発見型指導スタイルの適用可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
研究協力校として予定していた関東圏内の小学校で授業撮影を行わなかった。理由としては、新潟市内で新たに研究協力校が確保でき、複数の授業実践データを近場で収集可能となったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より精緻な言語分析を行うため、複数の分析ソフトやパソコン等が必要不可欠となり、そのための予算を確保する必要がある。また、関連学会での発表や関東圏内での調査も含めて旅費の確保も必要である。
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