2016 Fiscal Year Research-status Report
アメリカにおけるダンス教育の指導内容に関する横断的・縦断的研究
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16K16499
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Research Institution | Biwako Seikei Sport College |
Principal Investigator |
大西 祐司 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 講師 (00756760)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダンス / スタンダード / アメリカ / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカにおけるダンス教育のスタンダードを対象に、ダンス教育の指導内容及びその作成過程を明らかにすることを目的としている。平成28年度の計画は課題1:ナショナルスタンダードと各州のスタンダードの構成及び内容を比較し分析することであった。 対象とした資料は、1994年から2013年までの各州のダンスのスタンダードである。2014年に改訂版のナショナルスタンダードが公示されたためこの期間とした。収集方法はNational Index of Dance Credentials & Standards(NDEO, 2014)で確認した上で、インターネットによるキーワード検索「州名 state standards」も合わせて行った。収集した各州のスタンダードからダンスの取り扱い状況を明らかにするため、記述的コーディング(リチャーズ, 2009)を用いて、【芸術に包括】【芸術と共通】【ダンス独自】【ダンスなし】のカテゴリーを作成しコーディングした。 その結果、43州のスタンダードを収集することができた。それぞれの州のダンスの取り扱いは次の通りである。【芸術に包括】は2州、【芸術と共通】は11州、【ダンス独自】は26州、【ダンスなし】は4州であった。1994年のナショナルスタンダード策定以降、ダンス領域は芸術科に包括される形で必須科目となった。しかしながら、すべての州でダンスが独自に取り扱われているわけではなかった。【ダンス独自】のスタンダードを敷いているところが半数以上であるものの、【芸術に包括】【芸術と共通】【ダンスなし】の状況が3分の1以上を占めていた。ナショナルスタンダードは州に受け入れられているという指摘がある一方で、すべての州でダンス教育が独立して位置づいているわけではないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先の課題1については概ね計画通り進行している。ただし、課題1では研究対象を芸術科のスタンダードに焦点をあてて検討をしたが、本研究を進める過程で州レベルでは体育科でもダンスが扱われていることが判明した。ダンス領域はナショナルスタンダードレベルでは芸術科として必修化されたが、各州におとし込まれた場合、体育科のスタンダードにダンスの記載がみられた。この要因として教育の主権は州政府が握っており、ナショナルスタンダードは、法的な拘束力がなく、あくまで参考として位置づけられていることが考えられる。各州のダンスの取り扱いを明らかにする上では、各州の体育科のスタンダードも研究対象に含め追検討することで、実態を正確に明らかにすることにつながるであろう。課題2,3とと合わせて検証を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は課題2:1994、2014年策定のナショナルスタンダードの構成及び内容の変容を考察することにある。2014年に策定されたナショナルスタンダードであるNational Core Arts Standardsをインターネット上から収集する。それを1994年のNational Standards for Dance Educationと発達の段階やContent Standard、Achievement Standardと比較し同意点を明らかにする。二次的ドキュメント収集のため、インターネット上の情報に加え、現地に赴き資料を収集する予定である。また、アメリカで行われる学会に参加し、ナショナルスタンダードの関係者に尋ねることで、情報の妥当性を確保したい。 先の課題1の結果の通り、すべての州でダンス独自のスタンダードが設定されているわけでなかった。このような国と州の状況を踏まえれば、2014年のナショナルスタンダードではその調整が施されていると予見される。
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Causes of Carryover |
今年度の物品購入費が当初の計画より抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料印刷のためのプリンター等の機器を購入予定である。
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Research Products
(1 results)