2016 Fiscal Year Research-status Report
Collective Efficacyの変容とコーチングに関する包括的研究
Project/Area Number |
16K16507
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
池田 英治 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (70726877)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | collective efficacy / coaching style / team performance / group function / coaching behavior |
Outline of Annual Research Achievements |
“Collective Efficacy”(CE:集団に属する個人が抱く所属集団に対する効力感)は,チーム・パフォーマンスを向上するための極めて重要な要因である.しかしながら,わが国における競技スポーツ場面におけるCE研究,特に縦断的検証については極めて少数である.これまでの我々の研究によって,チーム・パフォーマンス,CE,その他関連要因の変容は,各集団によって著しく異なること,及びそれらの変容にはコーチの存在が強く影響を及ぼす可能性が示唆された.そこで,本研究では,バスケットボール・チームを対象に,①コーチング・スタイルやコーチング行動とCE及びチーム・パフォーマンス等との関係性について縦断的データを収集・検証すること,②CE向上に資するプログラムを用いた介入効果を検証することを目的としている.
平成28年度においては,まず,CE Scale for Basketball Defense(CESBD)の尺度としての妥当性・信頼性を検証した.その結果,3因子24項目から成るCESBDは,収束的妥当性が高く,検証的因子分析における適合度指標の値は,概ね良好であることが認められ(NFI =.91,CFI =.94 RMSEA =.08),その有効性が確認された.続いて,バスケットボール・チームにおけるCESBD,CE Scale for Basketball Offense,凝集性,一般性集団効力感の縦断的変容を調査するとともに,コーチのスタイルやコーチング行動について,コーチング効力感尺度への回答やビデオカメラでの練習風景の撮影,半構造化面接を用いて検証を行った.選手(2チーム50名),コーチ(2名)のデータを得ることはできたものの,サンプル数が少ないため次年度にも同様の調査を行い,その上で,HLMの手法やRのseewaveを用いて統計解析を進める予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の研究課題は,Collective Efficacy for Basketball Defense(CESBD)の尺度としての妥当性・信頼性を検証し,並びに,バスケットボール・チームを対象に4つの心理尺度の縦断的変容を調査するとともに,コーチのスタイルやコーチング行動について検証することであった.結果として,調査対象者・チームの募集が難航を極めたため,データ数が予定よりも若干不足している状態である. 従って,研究全体としての達成度はやや遅れているが,平成29年度における研究課題について見直し・修正を行ったことにより,29年度内に28年度研究実施計画における未達成課題を含めた全ての課題を完遂できる予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究実施計画は,不足している縦断的データの収集をするとともに,以下について実施する予定である. 期分け(periodization)における一般的準備期,専門的準備期,試合準備期,試合期を含む一定の期間内に,CESBO,CESBD,関連する心理学的要因の尺度を幾度も回答させ,縦断的データを収集する.収集されたCE尺度得点,チーム・パフォーマンス指標得点をHLM等を用いて分析を行い,集団におけるCEの影響度が高いチームを選別する.対象となるチームのコーチに対して,CE尺度に関する得点の推移や個人の得点のばらつき及び各因子・各項目得点の前週との比較について報告書を作成し,電子メール等を用いてフィードバックを行う(介入方法).また,選手に対しての介入方法についても同様に検討する.
|
Causes of Carryover |
平成28年度予算計画に計上した研究費について,「研究実績の概要」および「現在までの達成度」にて記述した通り,データの収集におけるサンプルが予定よりも少数であったため,その調査に係る「旅費」と「謝金・人件費」の支出が抑えられる結果となった.また,コーチング行動を記録するために計上していたビデオカメラは,予め保有していたもので事足りたことから,購入するに至らなかった.以上の2点の理由より,次年度使用額が生じることとなった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において,「物品費」に関しては,28年度に使用予定であった「ビデオカメラ」の購入に充てることを予定している.また,「旅費」に関しては,調査研究費と成果発表(2回)のために充てる予定である.最後に,「人件費・謝金」および「その他」に関しては,申請書の通り,調査協力者への謝金,調査補助費,調査研究用通信費,英文校正費として使用する予定である.
|