2017 Fiscal Year Research-status Report
東京オリンピック(1964年)のメディア経験と開発の記憶に関する歴史社会学的研究
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16K16531
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高尾 将幸 東海大学, 体育学部, 講師 (60584381)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メガイベント / 開発 / メディア経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、1964年の東京オリンピックに関連するドキュメンタリー映画の実態の解明を実施した。各年度ごとに関連映画(ニュース動画を含む)の本数は、1962年が1本、1962年が2本、1963年が6本、1964年が16本、1965年が5本、1966年が1本、不明が11本となっている。 制作に関わったのは、主としてPR映画と呼ばれる企業が自らの事業をアピールする作品に関係する人物たちであることがわかった。また、主だった組織としては、東京都映画協会や東京オリンピック映画協会などが浮かび上がってきた。企画主としては、鹿島建設、清水建設、日本通運、松下電器といったオリンピックに関連する諸産業の企業の存在があった。 所蔵機関については、都立多摩図書館の他、彩の国デジタルアーカイブ以外にも、首都圏の公立図書館に散在していることがわかっている。本年度は、物流博物館(作品名「オリンピックを運ぶ」)および都立多摩図書館(作品名「東京オリンピックへの道」)での上映イベントに参加するとともに、その基本的な映像の内容を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は所属機関の変更があったため、新しい職場環境に適応することや、新たな担当授業科目の準備のために多くのエフォートを割くことを余儀なくされた。そのため、主要な資料となるメディアコンテンツの具体的な内容の分析には進むことができていない。 ただ、主だったメディアコンテンツの基本情報および所蔵機関が明らかになっており、次年度以降の具体的な映像作品および背景に関連した情報の収集・分析の目途はたっている。また、16ミリフィルム映写機を購入したこともあり、今後は各作品を鑑賞・分析するのみならず、データセッション等の作業を通じて、より詳細な検討が可能になるものと思われる。 前年度は八王子市の記録映画制作の基本的な情報を得ることができ、今後は全体的なオリンピック関連記録映画群と関連付けながら、その歴史的な意義および特徴について掘り下げていくことができるものと思われる。引き続き八王子市での聞き取り調査や資料収集にのぞむ予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は収集した記録映画の基本情報をもとに、実際に所蔵機関を訪問するとともに、可能な限り作品の貸与を行い、詳細な分析に努めたい。また、適宜、応募者の研究協力者の協力得ながら、映写機を用いたデータセッションの機会や研究会等を開催することで、効率的かつ柔軟に研究を進めていきたい。同時に、八王子市でのフィールドワークも引き続き行い、当時の地域社会における人々がオリンピックをどのように受け止め、それが記録映画とどう関係していたのかについて、現地のインフォーマントに協力を請いながら、着実に理解を深めていくつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度においては、各メディアコンテンツの具体的な分析には至っていないため、若干、使用額が計画どおりにはいっていない状況にある。次年度以降、文字起こし等の資料整理のアルバイトを雇うことが多くなることが予想されるため、そちらに充当する予定である。
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