2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K16532
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 佑介 日本大学, 商学部, 准教授 (00559536)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 体操 / ドロップランディング / 空中 / 空中感覚 / 視覚 / 眼球運動 / 視線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、空中における落下中の視線行動と身体運動を計測し、両者の協応運動の実体を明らかにするものである。具体的には,高さのある台から跳び下り,両足で着地することが課題である。その間に人がどこへ視線を向けているのか,どのような動作を行うかといったことについてデータを収集する。得られたデータは,空中における視覚運動制御の解明や,スポーツ現場におけるトレーニングプログラム作成の一助となることが期待される。 平成28年度には,概ね計画通りに実験を進めることができた。本研究課題の採択後,実験環境を構築するために必要となるアイトラッキングシステム等を購入した。そのうえで,若年健常者を実験参加者として,80cmの高さの台から跳躍し,ソフトマットに着地するという課題を行った。その課題時に,アイトラッキングシステムと動作解析システムを利用して,参加者の視線行動と跳躍-着地動作を測定した。 現在までに,1)参加者によって跳躍中に視線を向ける方向が異なること,2)その方向はいくつかのパターンに分類されること,3)着地時の頭部の向き等と視線方向の関係性,等が研究結果として得られている。 実験結果の一部は,2017年7月10日から14日にセビージャ(スペイン)で開催される国際会議(The International Society of Sport Psychology)にて発表(Where do people look during drop landing?)予定である。このことも,本申請課題申請時の計画通りである。 現在までに得られたデータは,これまで未解明であった台からの跳躍-着地時に行われる視線行動を明らかにしたばかりでなく,その視線行動と身体運動との協応関係について検討することも可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,若年健常者を実験参加者として跳躍-着地動作における視線行動と身体運動に関する実験を行った。得られたデータの分析も始まっており,「若年健常者が高さのある台からの跳躍する際の視線行動と身体運動の協応関係」について新しい知見を得るに至っている。その結果の一部は,当該年度が発表申し込み期限であった国際会議(2017年7月開催)の抄録としてまとめられた。 予定していた実験を想定どおりに行うことができた一方で,前倒し請求において承認された「アイトラッキングシステム機能のアップグレード」を実施することができなかった。しかしながら,現状所有するシステムにおいても十分なデータを取得することが可能であることから,前述の点については今後の研究計画に大きな影響を与えるものではない。
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Strategy for Future Research Activity |
「空中における落下中の視線行動と身体運動の協応の解明」について,概ね計画通りに研究を進めることができた。当該年度のデータについて分析をさらに進め,その結果を論文にまとめることが今後の1つの課題である。それにより,実験結果を社会に発信することが目的である。 また,本申請課題の計画通りに,平成29年度には体操選手を実験参加者として跳躍-着地動作中の視線行動を測定することも課題として挙げられる。すでに実験機器,環境等の実験方法が確立していることから,実験に至るまでの準備は概ね完了している。その実験を通して得られたデータと平成28年度に得られたデータを比較することによって,本動作中の視線行動における熟練性について検討する。その結果を利用し,平成30年度には両者を実験参加者としてさらなる実験を展開する計画となっている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した主たる理由は,平成28年度の前倒し請求において承認された「アイトラッキングシステム機能のアップグレード」を実施することができなかったことである。本アップグレードを実施しなかったものの,十分な実験データを取得することができたことも,その一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の助成金額を含め,次の項目において使用する計画である。1)実験実施時に必要な消耗品の購入。2)国際会議での研究発表等にかかわる旅費。3)実験参加者への謝礼。4)論文作成にともなう英文校正費等である。いずれの使用計画も,研究活動を大きく助成するものである。計画的に使用することによって,実験実施から得られた知見の発表まで,一連の研究活動を適切に進めていく。
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