2019 Fiscal Year Annual Research Report
The study of the psychological growth process of the injured athletes
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16K16555
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 敦 法政大学, スポーツ研究センター, 研究員 (00734790)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 受傷アスリート / 心理的成長 / 象徴的理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アスリートの受傷体験が心理的成長に与える影響を明らかにし当該アスリートへの心理支援方法の確立への示唆を得ることを目的とし、受傷体験を選手としての成長につなげる体験様式を検討した。最終年度は、研究者の担当した心理サポート事例の分析を行い、受傷アスリートをサポートする際の留意すべき点について公表した。そこでは、受傷時に怪我に対する直接的な悩みが語られる場合もあるが、自身の身体的な課題(例えば、筋肉のアンバランス)、対人関係、自身の心理面の課題(例えば、不安や焦燥感など)といった悩みを訴える場合もあった。実際にそのような訴えに耳を傾けていると、身体面の不調(怪我による関節の可動域や動きの制限)を通して自分の心理面の課題を語っているアスリートがいたり、怪我に直接関わらない訴えでも、自分の課題を明確化させ、課題への対処方法の確立に向けた対策を講じたりしているアスリートがいることが示唆された。したがって、アスリートに対する心理サポートでは、痛みを身体的な痛みとしてだけでなく、様々な層から受け止めること、さらに怪我とは直接関係のない訴えでもそれらを通して受傷時の辛さを代弁している可能性のあることを考慮する必要がある。そのように、受傷アスリートの語りを受け止めることによって、アスリートは支えられていることを実感し、そこでの関係を支えに自身の力で歩み、心理的成長につなげていくと考えられる。
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