2018 Fiscal Year Annual Research Report
Qualitative and quantitative studies of the factors that determine the success or failure of motor performance under the pressure
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16K16556
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
佐々木 丈予 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (40772554)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理的プレッシャー / あがり / 事例間比較 / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は分析を完了させ、学会発表(日本スポーツ心理学会)を行なった。ここでは、対人競技の事例に着目して分析結果を報告した。事例は、オリンピックへの出場のかかった選考会における4試合であった。質的分析を用いて、各事例からカテゴリーを抽出し、それをプレッシャー下の実力発揮の成否を分ける要因という観点から比較した。その結果、「脳と体のつながり」および「勝利に至る過程を阻害する欲」というキーワードを得た. 「脳と体のつながり」は, 実力を発揮した事例2の【劇的に動きが良くなったということではないが, 考えと動きがリンクし, ポイントにつながった】に対して, 実力を発揮できなかった事例1の【脳ではわかっていても, 体が欲しがっていて, 判断できた時には体が動いてしまっていた】と事例3の【頭ではわかっていても, 体が勝手に動いてしまう】を比較して得られた. 過去に, プレッシャーによる判断力の低下 (村山ほか, 2009) や客観的な運動の変化(Tanaka & Sekiya, 2010)といった個別の報告はあったが, これらのつながりに言及した先行研究はなかった.2つ目の「勝利に至る過程を阻害する欲」は, 実力発揮に失敗した事例1と3において, 【とりあえず優勢に進めたかった】や【この試合で終わりにしたい】といったカテゴリーがあった一方で, 成功した事例2と4にはなかったことから示された. これついては, 勝つための戦術とは関係のない事柄に欲が向けられることで, 競技に焦点化した判断や思考ができなくなることを指摘している. 競技スポーツにおけるプレッシャーは, 勝敗に以外にも多岐にわたるため, 性質の異なるプレッシャーが一度に降りかかる中で, 注意や意識を勝利につながる対象にいかに焦点づけるかが重要であることが示されたといえる.
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Research Products
(1 results)