2016 Fiscal Year Research-status Report
熱中症予防を目指した高体温誘因の過換気と脳血流低下反応の特性解明
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16K16561
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
辻 文 県立広島大学, 総合教育センター, 講師 (40707212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高体温 / 過換気 / 熱中症 / 脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
暑熱環境下で運動を行い体温が上昇すると,高体温誘因の換気亢進 (過換気) 反応が見られる。この体温上昇に伴う過換気によって,動脈血中CO2分圧の低下とそれに付随する脳血流の低下が起こる。今年度は,暑熱下持続的運動時における過換気および脳血流低下反応に及ぼす時刻の影響について検討した。健常男性を対象として,早朝および夕方に,室温35℃,相対湿度40%の暑熱環境下において,中強度 (最大酸素摂取量の50%負荷) の一定負荷自転車運動を実施した。運動は,1) 深部体温の指標である食道温が39℃に達するか,2) 被験者が運動を維持できないか,3) 運動時間が60分に達した場合に終了した。この運動時において,食道温,皮膚温,換気量,呼気終末CO2分圧 (動脈血中CO2分圧を反映),中大脳動脈血流速度 (脳血流量の指標; 経頭蓋超音波ドップラー法),動脈血圧,心拍数,主観的運動強度,呼吸努力度および温度感覚を連続的に測定した。その結果,安静時および運動時の食道温は早朝よりも夕方で高値を示したが,運動時における換気量の増加および呼気終末CO2分圧の低下反応に早朝と夕方で違いはみられなかった。中大脳動脈血流速度は,運動時間の経過に伴って徐々に低下し,早朝と夕方で有意な違いはみられなかった。これらの結果から,暑熱下運動時における換気亢進および動脈血中CO2分圧の低下,さらに脳血流低下反応の経時変化は時刻の違いによる影響を受けない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,当初の計画通り実験を実施することができたことから,研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は被験者の確保や実験設備のセットアップに時間を要したが,今後はこれらを円滑に進め,予定の実験を早急に実施していく。
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Causes of Carryover |
当初,次年度4月からの実験実施に関わる消耗品等を購入する予定であったが,今年度の実験が遅れたため,次年度に繰り越して使用することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年間の研究課題における使用計画自体に変更はないため、計画通りに助成金を使用していく予定である。
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