2016 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンDと運動が骨格筋ミトコンドリア新生ならびに品質管理機能に及ぼす影響
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16K16571
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
羅 成圭 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (60741999)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 運動 / ビタミンD / 品質管理 / 分裂 / ミトコンドリア / 融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動は骨格筋のミトコンドリア新生を促進させ、品質管理機能も向上させる。近年、ビタミンD受容体が骨格筋に発現していること、さらにはミトコンドリアにも局在している可能性が報告されている。今年度は、実験動物を用いて、食餌に含まれるビタミンDの量が骨格筋のミトコンドリア新生や品質管理機能を高める可能性について検証した。また、ミトコンドリアの分裂や融合を高める可能性についても検証した。 ラットに飼料1 kgあたりビタミンD含有量0 IU/kg(欠乏群)、または2000 IU/kg(投与群)の2条件でビタミンDを投与した。9週間の飼育終了後、骨格筋を摘出し、ミトコンドリア新生ならび分裂・融合機能、そして品質管理機能の指標について評価した。また、血液も採取し、血清ビタミンD濃度も測定した。 9週間のビタミンD投与によって、投与群の血清ビタミンD濃度は欠乏群と比較して有意に高い値を示した。ミトコンドリア新生の指標であるPeroxisome proliferators-activated receptor γ coactivator-1α(PGC-1α)のヒラメ筋内発現量は、欠乏群と比較して投与群で有意に高く、約30 %の増加を示した。また、ミトコンドリア分裂の指標であるDynamin-related protein 1(Drp1)も投与群において有意に増加した。しかし、ミトコンドリア融合の指標であるOPA1や、品質管理機能の指標であるParkinのヒラメ筋内発現量は、食餌に含まれるビタミンDの影響を受けなかった。このように、食餌によるビタミンD投与はラットヒラメ筋のミトコンドリア新生や分裂を促進させる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、食餌中のビタミンD濃度の影響を検討する「in vivo実験」と、摘出筋をビタミンDを含む培養液中でインキュベーションする「ex vivo実験」をおこなうことを計画していた。「研究実績の概要」に示したように、「in vivo実験」においてはほぼ当初の計画通りに実験をおこない、国際誌への投稿準備を進めている。しかし「ex vivo実験」は機器や試薬の調達に時間を要し、年度内に実施することができなかった。これらを考慮して「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、平成28年度に実施することのできなかった「ex vivo実験」を実施することで、ビタミンDが骨格筋に直接的に作用し骨格筋ミトコンドリアの新生や分裂を亢進させる可能性について検討する。また、当初の計画通り、「ビタミンDの摂取」と「運動トレーニングの実施」が相加的に骨格筋のミトコンドリア機能を向上させるという仮説について「in vivo実験」と「ex vivo実験」を用いて検証する。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」に記した通り、平成28年度に実施予定であった「ex vivo実験」が機器の準備や試薬の調達が遅れたことにより実施することができなかった。次年度使用額が生じたのはこのためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「ex vivo実験」のための研究機器の準備が概ね整った。「次年度使用額」は、平成29年度におこなう「ex vivo実験」のための試薬の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)