2016 Fiscal Year Annual Research Report
アレキシサイミアにおける日常生活下での症状評価法を用いた心理行動学的相関の解明
Project/Area Number |
16K16587
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
金 鎭赫 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 心身医学研究部, 流動研究員 (00735095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日常生活下調査 / アレキシサイミア / 身体活動度 / 抑うつ気分 / 心理行動学的相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレキシサイミア(失感情症,Alexithymia)は、自分の感情の同定や表現が乏しい状態を表し、心身症患者のみならず精神疾患全般や健常人にも広く観察される人格特性、個人差の傾向とされている。研究代表者は、健常人およびうつ病を含む精神疾患には心理状態(抑うつ気分)の悪化に伴い行動的(身体活動度)パターンの変調が見られるという心理行動学的相関(Psycho-behavioral correlates)の存在を検証してきた。しかしながら、アレキシサイミア傾向の高い集団においては、感情同定・表現が難しいことから、この心理行動学的相関が弱化・消失されると考えられる。本研究ではアレキシサイミア傾向の高い集団において、1)心理状態に対する行動的・生理的指標との相関を検証し、2)その相関に影響しうる要因(例:社会環境的要因)を検討することでアレキシサイミアの特徴を明らかにするを目的としている。 今年度の調査では、健常成人100名程度を対象として、まずアレキシサイミア傾向を日本語版20-items Toronto Alexithymia Scale(TAS-20)により評価した。調査参加者は、アレキシサイミアの傾向を評価した上で、EMAによる1週間の調査期間中、心理状態として気分と身体症状といった自覚症状を1日約6回記録した。さらに、行動的指標として腕時計型加速度センサーによる身体活動度、生理的指標(心拍関連変数)や社会環境的要因(EMA測定時の場所、活動、同伴者など)の測定を同時に行うこととした。 今後、取得されたデータを用いて、1)EMAで記録された各自覚症状と身体活動度または心拍関連変数の関連性におけるアレキシサイミア傾向の程度による差、2)自覚症状と行動的または生理的指標間の関連性における社会環境的要因の影響などを調べる予定である。これにより、アレキシサイミア傾向の高い集団における精神疾患や心身症の早期発見や客観的評価・診断への貢献を試みる。
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