2016 Fiscal Year Research-status Report
女性特有のサルコペニア発症メカニズムの解明と治療応用
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16K16604
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北島 百合子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (40380901)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エストロゲン欠乏 / 骨格筋 / 老化促進マウス / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、エストロゲン欠乏と加齢の二つのリスクが重なるとき、女性の骨格筋は男性とは異なる骨格筋萎縮を示すのではないかと仮説を立てた。本研究は,エストロゲン欠乏と加齢における骨格筋の変容について検討し,加齢に伴う女性特有の筋量低下のメカニズムを解明することを目的とした。比較的短期間で老化の影響がみられ、骨格筋においても十分解析できる老化促進マウス(SAMP8マウス)とコントロールマウス(SAMR1)を用いて、卵巣摘出によるエストロゲン欠乏によって起こる骨格筋の萎縮および筋力低下、サテライト細胞の分化・増殖・自己複製能の低下、骨格筋の速筋化が、加齢によるエストロゲン欠乏でも認められるかを検討した。①前脛骨筋または咀嚼筋を剖出し、筋横断切片の基底膜の免疫組織染色により、筋肉の横断面積を測定した。②小動物用握力測定装置(ラボに導入済)を用いて、四肢筋力測定による筋機能を評価した。③骨格筋の再生能を評価するために、薬剤(カルジオトキシン)を前脛骨筋に筋注し、筋損傷を与えた。2週間後に筋横断切片を作成し、ラミニン染色により再生筋の大きさを定量し、筋損傷刺激後の筋再生能を評価した。また、エストロゲン様作用のあるイソフラボンを含む豆乳が、加齢によるエストロゲン欠乏に伴う筋萎縮や筋力低下に対し,予防改善効果があるか否かを検討した。 SAMP8ではコントロール群で筋力はSAMR1より有意に低下したが、SAMP8豆乳群ではSAMR1と同程度まで改善した。同様に、筋横断面積に関しても、SAMP8のコントロール群ではSAMR1より有意に低下したが(p=0.03)、SAMP8豆乳群ではSAMR1と同程度まで改善を認めた。筋損傷を惹起させるとSAMP8のコントロール群ではSAMR1より有意に横断面積が縮小(p=0.03)したが、SAMP8豆乳群ではSAMR1と同程度まで改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画はほぼ検討できたと判断する。また、平成29年度の研究計画に使用する機能阻害マウスも現在作製中であり、一部検討が始まっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々のこれまでの検討により、加齢促進マウスの骨格筋萎縮には、豆乳が効果的であることが示唆されたが、その成分については検討できていない。今回、遺伝子改変マウスを利用し、Cre-LoxPシステムにより骨格筋特異的にERβ遺伝子をノックアウトできるMlc-Cre;ERβ-floxedマウスを用いて、エストロゲンの生理的な作用点を解明する。
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Causes of Carryover |
前年度の研究を遂行するにあたって、当初予想していた金額より低額で研究が遂行できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、遺伝子改変マウスを使用しゲノムワイドに網羅的遺伝子発現解析(RNA-Seq)を行う予定としており、今回の使用額をあてることとする。
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Research Products
(2 results)