腸内環境簡易評価システムの確立および走行運動が大腸環境へ与える影響の解明

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K16610
• Research Institution: Teikyo University
• Principal Investigator: 萩尾 真人 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教務職員 (00623927)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 腸内環境 / 腸内細菌叢 / T-RFLP / 群集解析

Outline of Annual Research Achievements

平成30年度は、可能な限り迅速に「腸内細菌叢簡易評価法」を「腸内環境簡易評価法」にまで発展させ、①運動が腸内環境へ及ぼす影響、ならびに②運動による大腸癌リスク減少効果への腸内環境の関与解明を目指す予定、であったが、今年度から所属機関が変わり、研究計画を立案した当初の予想より研究エフォートが低下したことにより、主に動物実験に関わる研究遂行に遅れが生じた。一方でT-RFLP実施後の取得データの解析手法について見直し、検討を行った。
前年度は、「ユークリッド距離」と「ウォード法」の組み合わせによる「階層クラスター分類」を使用することとしたが、全てのデータセットでかつあらゆる場面で使用できるかどうか、前提条件の吟味・検定の必要性を感じた。つまり、本解析法の適用条件に関して精査する必要がある。また、クラスター分類が菌分類のどれほどの深度を反映しているかを確認する必要がある。具体的には同一サンプルに対して次世代シーケンサーによるデータ解析を行い、本研究での手法での解析結果と一致するかどうかの照合が必要である。また、今後はクラスター分類を統計的に評価できる解析法への改良、例えばノンパラメトリック分散分析の導入を検討し、より明確にグループ内、グループ間の類似度を比較する手法への発展を目指す。
胆汁酸、有機酸、短鎖脂肪酸の測定に関して、次年度は引き続き所属施設の備品を調査し、最適な測定機器を選定したうえで迅速に分析法確立を目指す。また、上記物質類に限定せず腸内環境を反映する代謝物の探索も引き続き行い、効率的な腸内環境評価法への改良も併せて進めていく。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

平成30年度の進捗状況は、「（4）遅れている」と考えられる。当初の予定とは異なり、所属機関変更に伴った研究エフォートの低下により、計画より研究遂行が遅れる結果となった。そのため、研究期間を延長することとした。次年度はまず、研究環境の改善を図り計画に近いエフォートを確保できるよう努める必要がある。動物実験に関わる研究遂行が遅れた一方で解析手法の見直し、および新たな検討課題の発見が得られたため、最終的な研究全体の完成度が高まることが期待できる。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は、当初計画していた内容の観点からは研究遂行が遅れたが、解析手法の見直しという点では多くの時間を充てることができた。そのため、最終的には評価法の完成度がより一層高まることが期待できる。
研究環境の改善を図り、前年度に挙げた制限酵素の複数使用による菌叢情報の詳細化や、複数蛍光プライマー使用による多検体同時分析などを実用化することができれば、さらなる分析精度および分析効率の向上が見込めるため、評価法の改善を目指したい。またその後の流れとして、①解析手法の確立、②化学物質と菌叢の情報を内包した腸内環境の評価法への発展、③生体サンプルへの適用、を経て、当初の研究計画の遂行を目指す。

Causes of Carryover

平成30年度は所属機関が変わり、研究計画を立案した当初の予想より研究エフォートが低下したことにより、主に動物実験に関わる研究遂行に困難が生じた。そのため、本年度は助成金を使用する機会が得られなかった。
次年度は研究環境の改善を図り計画に近いエフォートを確保できること、また本研究を最後まで遂行することを目指し、研究期間の延長を申請した。よって翌年度への繰り越し予算はラットもしくはマウス個体、および飼育用品、飼料の購入、T-RFLP用試薬の購入、MS解析関連試薬の購入に充てる予定である。