2016 Fiscal Year Research-status Report
フレイルと健常の境界域の解明:なぜフレイルになるのか?
Project/Area Number |
16K16611
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
松下 英二 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 助手 (00643165)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フレイル / プレフレイル / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
なぜ健常な高齢者がプレフレイルとなり、ゆくゆくはフレイル、要介護状態へと陥るかを明らかにすることで、要介護を未然に防ぐことが出来る。とりわけ、超高齢社会の我が国では、その入り口に当たる健常とプレフレイルの境界を探ることで大規模な予防効果が期待できる。 2016年度の研究に参加し、調査項目に欠損のある者を除いた65歳以上の高齢男女465名のうち、プレフレイル高齢者204名を対象とし横断解析を行った。フレイルの分類はFriedらの身体的フレイルの基準を用い、5項目のうち3項目以上該当した者をフレイル、1~2項目該当した者をプレフレイルとした。プレフレイル高齢者を性別により二分し、その特徴を比較した。 465名の内、プレフレイル高齢者は男性80人(41.7%)、女性124人(45.4%)であり有意差はなかった(P = 0.534)。プレフレイル高齢者の男女比較では、フレイル分類の疲労感(男性25.0%、女性40.3%、P = 0.034)は女性が有意に高く、同様に、握力低下(男性10.0%、女性19.4%、P = 0.079)も女性で有意に高い傾向があった。また、活動量低下(男性56.3%、女性42.7%、P = 0.064)は男性で有意に高い傾向があった。他、プレフレイル高齢者の特徴では、男性で「飲酒習慣」「日用品の買物をしていない」「預貯金の出し入れをしていない」「友人の家を訪ねていない」、女性で「独居生活」「配偶者無し」「低教育暦」「尿漏れ」「睡眠時間の低下」「階段を手すりや壁をつたわらずにのぼれない」「椅子から何もつかまらずに立ち上がれない」「転倒に対する不安が大きい」の割合が有意に大きかった。 このように、プレフレイルの特徴に性差がみられる項目も多く、診断項目の該当率にも性差が見られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の研究計画では、夏季と冬季の2回にわたり調査を実施する予定であったが、冬季の実施ができなかった。理由として、夏季に取得したデータの入力、解析等に時間を要したためである。 当初の予定では600名を対象としていたが、研究同意数は731名であったことも要因である。 一方、1回の実施となったが、十分な研究データを確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の調査実施に向け、2016年度研究結果を解析し、追加のアンケート調査を準備中である。また、取得したデータの発表、論文化を積極的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
2回計画していた調査実施が1回であったため 研究機関の既存の備品および消耗品を一部使用したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第1回調査の実施より、より効率的に調査を進めることのできる設備を検討し、その拡充に充てる 研究結果をまとめる作業が膨大になることが予想されるため、人件費に充てる
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Research Products
(4 results)