2017 Fiscal Year Research-status Report
胎児期フタル酸エステル類曝露による生後の子どもの体格・発育への影響の検討
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16K16619
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
湊屋 街子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (50733367)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フタル酸エステル類 / 出生コーホート / 胎児期曝露 / 環境化学物質 / 疫学 / 公衆衛生学 / 肥満 / 発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児期(妊娠初期)のフタル酸エステル類、7種類(MiBP,MnBP,MBzP,MEHP,MECPP,MEHHP,cx-MiNP)の曝露評価を実施し、本研究対象者の妊婦ではフタル酸エステル類への曝露があることを明らかにした。さらに、曝露評価のデータを用いて臍帯血中アディポカイン(アディポネクチン、レプチン、IL-6、TNF-α)濃度との関連を検討した。これらのアディポカインは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質で、肥満に関係するバイオマーカーとして知られており、また一部は炎症マーカーでもある。 母親の妊娠初期の血液中のフタル酸エステル類(DEHP)代謝物のMEHP、MECPP濃度、および代謝物の総和の増加は、臍帯血中レプチン濃度の減少と関連していた。同様に、フタル酸エステル類(DBP)代謝物のMiNP、MnBP濃度の増加は、臍帯血中レプチン濃度の減少と関連していた。子どもの性別で層別に解析をおこなったところ、DBPの曝露については男児、女児での影響の大きさの違いはみられなかったが、DEHPの曝露については、女児で男児よりも大きな影響がみられた。 一方、レプチン以外のアディポカイン濃度は、母の血液中のフタル酸エステル類濃度とは関係していなかった。この結果は、先に別集団を用いて行った研究で報告をした結果と同様であり、さらなる科学的知見の追加となった。 現在は、アディポカインなどバイオマーカーに加えて、子どものBMIや体脂肪率、皮下脂肪厚、血圧とフタル酸エステル類濃度が関連しているかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の対象者の人数は当初の見込みよりも少なくなったものの、成果を出すには十分な人数が確保できる見込みである。これまでに、120名以上の子どものデータの収集が終了しており、引き続き、調査の対象者となる母親、子どもに声掛けを行っており、次年度も順調に調査が進む見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、対象者の子どもの身体計測、皮下脂肪厚、血圧の測定を実施し、母親には子どもの食生活に関する質問票への回答をお願いし、調査を実施、推進していく。
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Causes of Carryover |
繰り越しの理由:調査の対象者の人数を少なくしたため、当初の計画に比べて人件費や謝金の出費が少なく抑えられたため。
使用計画:調査の推進を行い、対象者の人数の増加を目指す。これまで蓄積した調査票や身体計測データのデータベースへの入力作業にかかる人件費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)