2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16625
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
山田 真世 福山市立大学, 教育学部, 講師 (20759162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児 / 描画 / コミュニケーション / 表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,幼児期の描画における表現調整について,子どもの個人内メカニズム(認知,描画技術)と環境(保育者の意識など)の影響を検討するものである。本年度は,次年度に引き続き研究に関する文献のレビューと,幼児の表現調整の変化の検討を行った。 文献のレビューについては,実験内容や理論的な背景について,発達心理学や保育学,哲学といった多様な視点から検討を行った。昨年度の研究結果も踏まえて研究全体の位置づけを考察し,研究内容に若干の修正が必要であることが判明した。 幼児の表現調整に関しては,他者とのコミュニケーションを目的とする場合の表現調整(研究計画に挙げている調査)と比較するために,他者とのコミュニケーションを手段とする場合の表現調整を検討した。具体的な方法としては,幼児(3~5歳児)を対象に,描画を行う際に参考画として他者の絵のみが示され,絵の模倣が可能である条件(模写条件),他者が幼児の目の前で描画を行い絵を見せることで描画行為そのものが模倣可能である条件(行為模倣条件)を設定した。これらの条件を通して,幼児が自身の表現を変化させるかどうか,また,変化がある場合の変化の内容について分析を行った。 結果として,参考画を示すのみの模写条件ではどの年齢でも表現の変化が生じなかった。一方,他者が目の前で描画を行う行為模倣条件では,5歳児で他者の表現方法を取り入れて自身の表現とは異なる表現を試みることが示された。さらに,この時,表現方法(描かれた絵自体)だけではなく,書き順といった描く行為そのものについても模倣が行われていた。 これらの結果から,他者とのコミュニケーションは,目的だけではなく手段として使用される場合においても表現調節に影響を及ぼすことが示された。また,手段として使用される場合,行為が知覚できる直接的な他者として存在することが有効であることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のレビューと調査を行い,報告と執筆ができている。子どもの観察調査は来年度も継続して行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査を継続し,データ収集と分析,発表を行う。研究の最終年度でもあるため,これまでの研究を結果をまとめて包括的な考察を行い,幼児期の描画における表現調整の発達的変化とその影響要因を明らかにする。
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