2017 Fiscal Year Research-status Report
センシングツールを用いた幼児教育環境および保育環境のリスクの特定と評価方法の開発
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16K16627
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山本 彩未 中部大学, 教育実習センター, 講師 (60434932)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 幼児 / ヒューマンビッグデータ / 行動軌跡 / コミュニケーション / 固定遊具 / リスク・ハザード / 体力・運動能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児が幼稚園の園舎、園庭、固定遊具で遊びを展開している際の幼児の行動変容や集団形成の変化を可視化・定量化し、教育施設環境のリスクの特定・分析・評価をする新たな方法を開発することを目的として実施している。平成29年度の測定は、昨年と同様の測定方法で、昨年度測定を実施した私立幼稚園1園を対象に継続調査を実施した。春期(4月、5月)、夏期(7月)、秋期(11月)の3期に渡って、3歳児、4歳児、5歳児のそれぞれ2クラスと担任教員を対象とした。コミュニケーション、集団形成、身体リズムに関する情報ならびに、固定遊具や園舎に設置した約60か所に対する園児・教員の位置、行動軌跡情報などのビッグデータを集積することができ、解析は随時進めている。 平成28年度に実施した測定データの分析結果について学会にて4演題発表した。外遊び中のコミュニケーション状況と体力・運動能力との関連について、幼稚園で実施している体力・運動能力測定7項目の結果を0.5歳区分でTスコア化し、上位から6名(上位群)と下位から6名(下位群)に分けて比較した(対象:年中児)。その結果、対面人数および身体リズムに有意な差なく、体力・運動能力の違いによるコミュニケーションの特徴はなかった。また、固定遊具・施設の使用(接触)回数に有意差はなく、使用した固定遊具・施設に異なる傾向があったことから、体力・運動能力の違いによって遊びの嗜好が異なる可能性が伺えた。固定遊具のリスク管理の検討については、年少児の結果から、滑り台は小集団で使用する傾向が高く、踊り場で密集することがないため、活発に動きながら活用している様子が把握できた。また複合型遊具の吊り橋部においても同様の傾向が見られ、両遊具とも使用者が少ない時の方が幼児の動きが活発なだけに、大集団で使用しているときよりも落下、転落等のリスクが潜んでいることを伺うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ分析が遅れており論文投稿が遅れていることから進捗状況を遅延とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までと同様の測定方法で測定を実施し、縦断的分析が可能となる園に対しては3歳児から5歳児まで測定を実施する。 外遊び中の幼児の行動軌跡、対人関係や集団構成の変化・変容、遊具使用状況などと体力・運動能力や性差などの関連について検討し、教育施設環境のリスクとハザードを検証していく。 研究成果について研究実施年度内に可能な限り、学会発表および論文投稿により公表する。
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Causes of Carryover |
研究発表と論文作成が遅れたため、それに関わる旅費と投稿料など経費が次年度への繰り越しとなった。平成29年度に予定していた研究発表に関する旅費と投稿論文の印刷費として繰り越すこととする。
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Research Products
(4 results)