2017 Fiscal Year Annual Research Report
Novel chemical protein labeling approach for analyzing the intracellular cargo transport system in kinesin
Project/Area Number |
16K16635
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 和哉 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (90764952)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キネシン / 微小管 / アフィニティラベル / 反応性スイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
キネシンは生体内で機能しているモータータンパク質の一種であり、ATPを加水分解することで得られる化学エネルギーを利用して、微小管上を運動する。細胞内において、キネシンは、オルガネラや膜タンパク質などの能動的な輸送を担っており、記憶や神経軸索輸送など重要な生命現象に深く寄与している。本研究では、モータータンパク質キネシンの動きを制御し、それらが運搬している荷物タンパク質を網羅的な化学修飾法によって解析するものである。これまでに、キネシンの動きを可逆的に制御するために、低濃度でも十分に機能する光制御型阻害剤を開発することに成功している。平成29年度は、この新規阻害剤をキネシンに対し、アフィニティ化学修飾することで、タンパク質レベルで動きを制御できる光制御キネシンの開発に成功した。より具体的には、アゾベンゼン型阻害剤に対し、キネシンとの共有結合形成部位としてクロロベンジル基を導入したアゾベンゼン型阻害剤は、キネシンとアフィニティ駆動で求核置換反応を起こし、阻害剤修飾キネシンが得られた。これを精製することで、キネシンの動きを可逆的に光でOFF/ON制御できるキネシン分子の開発に成功した。さらに、網羅的化学修飾のための新規反応基を開発するため、NAD+/NADHのようなピリジニウムイオン/ジヒドロピリジン間の酸化還元状態変換(反応性スイッチング)に着目した反応基の検討を行った。新たに見出した反応基を用いると、標的タンパク質をアフィニティ駆動で化学修飾できることが確認できた。これを利用し、キネシン相互作用タンパク質を網羅的に化学修飾する手法を開発するための基盤技術を確立する。また、今回得られたキネシンの活性制御法を、他のモータータンパク質へと拡張することも並行して行う。
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