2017 Fiscal Year Research-status Report
ペプチドアレイ定量に基づいた未踏ペプチドリガンド配列の分子進化的探索
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16K16644
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Research Institution | Kawasaki Institute of Industrial Promotion Innovation Center of NanoMedicine |
Principal Investigator |
上野 真吾 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 副主幹研究員 (30594650)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ペプチドリガンド / 無細胞合成 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
ファージディスプレイ等の進化分子工学技術による親和性ペプチドの探索は、膨大な分子多様性を持つペプチド配列空間から親和性ペプチドを発見する手段を提供してきた。しかしながら、結合能を評価基準とする既存技術は、生理活性を有するリガンドの探索には不十分である。 本研究では、無細胞翻訳系を用いたペプチドの基板上並列合成法により作製する分子進化用ペプチドアレイを用いた、生理活性ペプチドリガンドのスクリーニング技術を提案する。基板上にペプチドライブラリー(表現型分子)とそれをコードするDNA(遺伝子型分子)とを同一スポットにアレイ化し、それらペプチドの生理活性をマイクロアレイのフォーマットに則って定量評価した後、活性の高いペプチドをコードするDNAを基板上から物理的に回収しシーケンシングすることで、生理活性ペプチドを効率よく発見することができる分子進化技術の開発を目指す。 平成29年度は、分子進化用ペプチドアレイ作製技術の要素技術として、ペプチド連結酵素Sortaseによる無細胞合成ペプチドの固相上固定化手法を開発した。SortaseおよびSortaseの基質ペプチド配列LPETGを融合したタンパク質を再構成型無細胞タンパク質合成液によって合成した。その際、Sortaseの基質ペプチド配列であるオリゴグリシンを修飾した固相担体を共存させておくことで、無細胞合成された分子進化対象タンパク質が固相担体上にペプチド連結反応を介して共有結合により固定化されることを確認し、分子進化用ペプチドライブラリーマイクロアレイ作製を可能とする要素技術を構築した。また、マイクロアレイ上でペプチドによる酵素阻害活性等の生理活性を測定する際に、酵素反応の開始をコントロールする必要があるが、光照射とケージド基質を用いることで酵素反応を制御する手法を考案し論文投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペプチドアレイを用いた生理活性ペプチド探索実験を行うために必要な、分子進化用ペプチドアレイの作製技術、運用技術の構築・改良は順調に進んでおり、論文投稿も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に構築したSortaseを用いたペプチドアレイ作製法を基盤技術として、分子進化用ペプチドアレイ作製技術を確立し、生理活性に基づいたペプチド探索のモデル実験を試行する予定である。なお、本研究で得られた知見は、学術誌への投稿や、学会発表等を行うことで社会に還元する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由: 当初の実験計画では、平成29年度中に生理活性ペプチド探索を目的としたペプチドアレイ作製技術を確立し、モデル探索実験を実施する予定であったが、新たに考案したマイクロアレイ上での酵素反応制御法の開発を優先した。そのためモデル探索実験用の予算を次年度に繰り越した。
次年度使用額の使用計画: 平成29年度に実施するはずであったモデル探索実験で必要となる試薬類の購入費用として利用する予定である。
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