2018 Fiscal Year Research-status Report
脳の使い方を学ぶ精神活動・運動トレーニング法の提案
Project/Area Number |
16K16649
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 智士 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (70590058)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳 / 個人差 / fMRI / 学習法 / 新規学習法 / 脳機能行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、被験者自身が脳活動を操作することで精神活動・運動行動の技能を向上させる方法の確立を目指す。ある課題を行う際の個人の脳活動パターンの特徴(癖)を数次元程度のパラメタで表現し、その課題が上手な人(熟練者)の脳活動パターンの癖に近づけることで技能向上を図る。本研究が完成すれば、脳の使い方を学ぶまったく新しい精神活動・運動のトレーニング法を提案することができる。 先行研究から暗算課題は熟練度に応じて動員する脳領域に違いがあることがわかっている。また、28年度におこなった行動学実験で、課題に暗算能力検定(日本珠算連盟)4級程度の暗算課題を用いれば、多くの被験者は問題に回答することは可能であるが、正答数、回答時間に差がみられるため、能力の差が明確になることがわかった。 この結果を受けて、29年度に暗算能力検定4級程度の暗算に回答する際の脳活動計測を行った。 40名の被験者が実験に参加した。被験者はfMRI装置の中で暗算能力検定4級程度加減乗除の暗算課題を行なった。また同じ被験者は、fMRIの外で暗算能力を検査する行動学実験にも参加した。行動実験の結果を解析すると、前年度の予備実験からの予想通り、大部分の被験者は課題の遂行が可能であるが、その平均解答時間に大きな差があった。 全ての実験において参加する被験者には、口頭および書面で実験の内容を説明し、参加同意を確認した。実験はヘルシンキ宣言を遵守して実施され、実験結果の取り扱いにあたっては、プライバシーに十分配慮を行なった。 現在、このパフォーマンスの個人差と計算課題中の脳活動の関係を調査中である。線形モデル(双線形モデル)では、脳活動のモデルが個人の特徴を抽出するのに十分な説明力をもたなかった。現在、別のモデルを用いて個人差の抽出を試行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
被験者の個性を抽出するためには、当初予定していた線形モデルを用いた解析では不十分であったため、別のモデルを試行する必要がある。このため、当初計画に比べると、遅れが生じ、計画研究は今年度で完了しなかった。よって、今年度に終了予定であった研究期間を延長し本研究を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に継続して適切なモデルを探索する。線形モデルに加え、カーネル法、深層学習による個人の特徴の抽出を試みる。本年度中に適切なモデルを採用し、低次元パラメタで個人の特徴を表現するすることを目標にする。
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Causes of Carryover |
(理由)当初計画からの研究の遅れが見られ、当初予定のニューロフィードバック実験が行えていないため (使用計画)次年度はまず、29年度に行ったfMRI実験の結果の解析を行う。必要に応じて追加で実験を行い、被験者を増やす。また、適切なモデルの選定と解析が完了次第結果を公表するとともに、ニューロフィードバック実験を行う。 次年度使用額は、これまで行った実験の結果を公表するため、およびニューロフィードバック実験実施のために使用する
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