2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Ethnic Chinese Society in Indonesia under Japanese Military Rule
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16K16655
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 浩司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60581022)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 『共栄報(Kung Yung Pao)』 / 華僑・華人 / ジャワ / 日本軍政期 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間最終年度に当たる今年度は、前年度末に復刻刊行した『共栄報(Kung Yung Pao)』の解題(日本語およびその中国語訳)の内容を拡張して英語で刊行すべく作業を行った。そのために、インドネシア国立図書館およびジャカルタ市内の複数の資料館において、これまでの研究で未詳だった事項を明らかにするための短期資料調査を行った。その結果、『共栄報』華語版(およびその前身『新新報』)の発行に携わっていた初期幹部のプロフィール等を含む編集体制、および同紙華語版・マレー語版の社内体制(編集、検閲、印刷等)に関する複数の事実が明らかとなった。これら新解明の複数の情報を盛り込んだうえで、日本語版解題を大幅に拡張・改訂した英語版解題、"Kung Yung Pao, The Only Daily Newspaper for the Ethnic Chinese in Java during Japanese Occupation: An Overview"(Transmission Books & Microinfo, 2020.3)を刊行した。 前年度までに、『共栄報』華語版紙面に登場する華僑系の主要組織、学校、およびその要職者として言及されている人名(約1800名)を網羅的に抽出し一覧にまとめたが、本年度は同様の作業を『共栄報』マレー語版について行った(『共栄報』データベース: 日本軍政期ジャワの華僑社会)。このデータベースには、華僑人名約3000名分を抽出しまとめている。 従来、資料等の大幅な欠如から、インドネシア華僑・華人史研究においては1940年代は「ミッシングリンク」とされてきたが、本研究によりこの時期の当該社会内部に関する膨大な基礎的データベースを構築することができ、戦前~独立後のインドネシア(特にジャワ)の華僑・華人社会を連続的な視野のもと分析するための大きな足掛かりが得られた。
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Remarks |
本科研プロジェクトのために新設したウェブサイト。今年度は『共栄報』華語版・マレー語版から抽出した組織・学校・人名等を網羅した「『共栄報』データベース: 日本軍政期ジャワの華僑社会」の内容を更新し充実化するとともに、新たに英語版解題を紹介するための特設サブページを設けた。
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