2016 Fiscal Year Research-status Report
ソ連崩壊後のキルギス共和国におけるコード・スイッチングの実態に関する調査研究
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16K16668
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小田桐 奈美 関西大学, 外国語学部, 助教 (50709136)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コード・スイッチング / 中央アジア / キルギス語 / ロシア語 / 旧ソ連 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ソ連崩壊後のキルギス共和国におけるコード・スイッチング(CS)の実態を明らかにすることである。主にキルギス共和国の首都において、キルギス語とロシア語のCS現象が頻繁に観察されることは、国内外の研究者及び現地メディア、また一般の人々によってもある種の社会現象として指摘されてきたが、これまでその実態は、事実上、学術的に解明されてこなかった。そこで本研究では、キルギス共和国首都ビシュケク市におけるキルギス語とロシア語のCSの実態を、談話データの分析、参与観察等の方法を駆使して多角的な視点から検討し、その特徴、類型、機能等を実証的に明らかにすることを目的としている。 2016年度は、CSに関する研究史を整理しつつ、2015年度までにすでに収集済みであった言語データの一部を用いてパイロット研究を行った。パイロット研究では、ビシュケク市在住者のCSの発生頻度とパターン・特徴を部分的に明らかにした上で、CSの機能について若干の考察を行った。また、今後探究すべき研究課題を明らかにした。 以上を踏まえ、2016年度夏季にキルギス共和国ビシュケク市において現地調査を行い、特定の話題を設定した上で、2人の対話形式で20分程度の談話データを3件(計6名)収集した。現地調査時には、併せて人々の日常生活における自然会話を参与観察しつつ、話題を設定した上で録音した談話と比較する目的で、自然会話も計3件録音した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
談話データの文字化にあたって、適任者の人選が難航したため、当初の計画より、やや遅れている。キルギス語とロシア語の談話に対応可能な業者は皆無である上に、キルギス語に使用される文字を入力するためのキーボードが、現地の一般家庭のPCには備え付けられていない等、技術的な問題があるためである。幸い、現地調査後に人選が無事終わり、現在は徐々に文字化を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
話題を設定した上での談話データは、最終的には10組20人程度収集する予定である。今後の分析結果によって、話題を設定しない自然会話の方がふさわしいことが明らかになった場合は、自然会話の件数を増やすなど、柔軟に対応する予定である。
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Causes of Carryover |
夏季の現地調査にあたっては、大学間交流業務を兼ねることになり、出張後半の日当や、復路の航空券代を、別の予算で賄うことになったため、科研費による出張費が当初の予定より少なくなった。また、談話データの文字化にあたって適任者の人選が難航したため、2016年度は謝金の支出が無かった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
談話データ文字化の人選が無事に終わったため、文字化の進行状況に応じて、2017年度に謝金として支出する予定である。
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