2017 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における男性同性愛者と親密な関係性に関する研究
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16K16669
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 直哉 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (20739156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 男性同性愛 / ジェンダー / セクシュアリティ / 親密性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に従い2017年度には「男性同性愛に関する史料調査・分析」および「異性愛に関する史料調査・分析」を行った。 「男性同性愛に関する史料調査・分析」としては、1970年代から1990年代までの男性同性愛専門誌『薔薇族』および『アドン』の記事、読者投稿、および文通欄などを主な史料として男性同性愛の当事者である読者たちがどのような同性同士の関係性を希求していたのかについて、定量的調査および定性的調査を行った。男性同性愛専門誌の文通欄における記述の経年比較からは、1980年代から90年代にかけて、関係呼称として兄・弟などの男性家族メタファーに代わり「恋人」の語が急増することを明らかにした。 また「異性愛に関する史料調査・分析」としては、主に1980年代の若者男性向け雑誌および書籍の定性的調査を行った。これらの雑誌においては、とりわけ1980年代後半から異性間の恋愛に関する記事が増加していることを明らかにし、その背景について歴史社会学的な検証を行った。異性愛に関する史料調査と分析は本研究課題においてたいへん重要であることが確認されたため、2018年度以降も引き続き継続する。 上記の研究実績については、日本解放社会学会およびジェンダー史学会の年次大会において口頭発表を行い、研究成果を報告するとともに参加者との議論を通じて今後の本研究に資するリサーチクエスチョンの発見作業を行った。 また論文「大正・昭和の男性同性愛者たちが語った「悩み」とその解決」(『青少年問題』668号)を執筆し、本研究課題の前提となる「男性同性愛者」アイデンティティの受容過程についての分析をさらに深化させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通り「男性同性愛に関する史料調査・分析」および「異性愛に関する史料調査・分析」について十分な研究を行うことができ、さらにこれまでの本研究の成果について二回の学会口頭発表を行うことができた。またこれらに加え論文「大正・昭和の男性同性愛者たちが語った「悩み」とその解決」(『青少年問題』668号)の執筆作業を通じ、本研究課題の前提となる「男性同性愛者」アイデンティティの受容過程についての分析をさらに深化させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は研究実施計画に従い「異性愛に関する史料調査・分析」および「女性同性愛に関する史料調査・分析」を行う。また必要に応じて「男性同性愛に関する史料調査・分析」も引き続き継続する。「女性同性愛に関する史料調査・分析」についてはミニコミ誌・雑誌などを主な史料とする予定である。 また年度内に学会大会での報告や論文等の執筆などを通じ、現時点での研究成果の発表を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
(理由)研究の進展にともない次年度以降により多くの旅費等が必要となる見通しとなったため、2017年度は物品費等の使用を制限し、次年度以降に使用することとした。 (使用計画)研究の進捗にともない必要となる書籍・史料の購入、および東京等での研究会開催時に必要となる旅費等として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)