2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K16684
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 仁 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (50771036)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Connexive Logic / Trivialism / 矛盾許容型論理 / 真矛盾主義 / counterfactual / 連関論理 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずConnexive LogicについてはドイツにおいてワークショップをHeinrich Wansing教授とともに開催し、招待講演者のClaudio Pizzi教授の講演をはじめ、複数の講演について検討が加えられた。また、ワークショップの開催に合わせてHeinrich Wansing教授と議論する機会を得て、連関論理における含意を加えた体系におけるWansing教授の見通しを詳細に検討した。この成果に基づいて、Nissim Francez教授の提案の内実を明らかにすることに成功した。さらにAndreas Kapsner博士研究員の来日に際して、特にconnexive logicとcounterfactualに関する議論との間に興味深い関連があることを明らかにし、その一部は論文として投稿中である。またKapsner氏が提案しているStrong Connexivityについては、Wansing・Kapsner両氏とそれぞれ議論をし、その複雑さの高いことを確認し、引き続き検討を続けることとした。
他方Trivialismについては、Zach Weber上級講師の三ヶ月間の研究滞在期間中に、当初の計画通りTrivialな世界を認めた場合の可能世界間の関係への影響を検討し、その成果を論文としてまとめ、目下投稿中である。さらに、Trivialismとの関連で、所謂真矛盾主義における表現能力に関する問題の議論も行い、その成果の一部をまとめた論文を準備している。また真矛盾主義の専門家で、特に真矛盾主義における表現能力に関しても興味深い研究を行っているFrancesco Berto教授を招待し、ワークショップを開催すると共に、Goodshipのアプローチに関して研究を進めているEduardo Barrio教授らのグループを訪問し、議論を行った。目下これらの成果をまとめた論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Connexive logic及びTrivialsimにおいて、当初予定されていなかった以下の二つの成果が得られたことによる。
(i) Connexive logicに関しては、Andreas Kapsner博士研究員との議論によって、counterfactualとの関連が見出された。これまでにもConnexive logicとcounterfactualの形式化とみなせるConditional logicとの間の関係は議論されていたが、しかし今回見出された関係はより一層密接なものであり、またAlan Hajekによって提起されているcouterfactualの理解にも関連しており、今後Connexive logicを新たな角度から理解するための鍵となり得ると考えている。より詳細な検討は、来年度以降の課題とする予定である。
(ii) Trivialismについては、所謂”Just true”の問題として知られる問題に関して、Zach Weber上級講師との議論によって、特に真矛盾主義との距離感、具体的にはメタ理論に古典論理を認めるか否か、に応じて問題に対してどのように答えるかを整理することに成功した。その結果、古典論理を認める立場に立つ場合には一定の困難が予想されるのに対し、古典論理を認めない立場に立つ場合には問題は容易に解決されることが明らかになった。これによって幾つかの興味深い問題が生じるが、それらの整理・検討は来年度以降の課題とする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の二つの柱、つまりConnexive LogicとTrivialismとに分けて述べる。
まずConnexive logicに関しては、九月に京都でHeinrich Wansing教授とともにワークショップを開催する予定である。Wansing教授の滞在中には、connexive logicに関して、特にBelnap-Dunnの体系に、直観主義的な論理結合子を加えた体系に関して、connexive logic の性質を加えた際の体系の表現能力等について検討する予定である。またStrong connexivityについてもWansing教授及びKapsner博士研究員とともに、引き続き検討を続ける予定である。さらに、論理体系の適用に関する理論として非常に優れているAdaptive logicの生みの親であるDiderik Batens教授 (ゲント大学)を招待し、論理の適用に関する理論の検討及びConnexive logicのような非古典性の高い論理の適用に関する問題の検討を行う計画である。
またTrivialismに関しては、引き続き、Zach Weber上級講師(オタゴ大学)と共にTrivialな世界を認めた場合の可能世界間の関係への影響や、”Just true”の問題に関連する問題について日本において共同研究を行うとともに、非単調な論理的帰結関係を用いて自明な帰結関係と自明な定理集合とを切り分ける等の問題に関して、David Ripley助教(コネチカット大学)と議論を行う予定である。
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Research Products
(14 results)