2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ethics in Asymmetric Warfare: Jus in Bello Violations and the "Dilemmas of War"
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16K16692
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松元 雅和 日本大学, 法学部, 准教授 (00528929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦争倫理学 / 非対称戦争 / 戦争のジレンマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、今世紀の国際社会で比重を増しつつある非対称戦争に注目し、そこで生じている戦争規則(戦闘員保護(区別)原理)違反をめぐり、その構造的要因を「戦争のジレンマ」状況にあるものとして位置づけたうえで、非対称戦争において要請される戦争倫理を解明することである。最終年度の計画は、戦争規則違反のありうる免責理由の妥当性を検証しつつ、部分的遵守の事態を念頭に置いた戦争倫理を論証し、それを今世紀の非対称戦争に適用することであった。その研究成果は以下のとおりである。(1)松元雅和「弱者の最後の武器?―非対称戦争における戦争倫理」グローバルジャスティス研究会(早稲田大学、2018年7月1日)では、非対称戦争において弱者が訴える交戦規則違反を道徳的に免罪しうる余地について検討し、非対称戦争の構造的側面を注視してもなお、必要性の観念から区別(非戦闘員保護)原理に根本的な変更を加える決定的な理由は見出せないとの結論を得た。(2)松元雅和「ロールズと倫理学方法論」『ロールズを読む』(ナカニシヤ出版、2018年)、27-49頁では、倫理学・政治哲学方法論としてロールズの反照的均衡を精査し、併せて狭い/広い均衡の概念的区別や科学方法論との異同を解明した。なお、研究期間全体を通じて実施した研究の最終成果は、「弱者の最後の武器?―非対称戦争における戦争倫理」(仮題)として、2019年度中に国内学術雑誌より刊行予定である。
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Research Products
(3 results)