2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Lankavatarasutra Chapter two: Translation, annotation, and study of its ideology
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16K16697
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
堀内 俊郎 東洋大学, 文学部, 教授 (60600187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サンスクリット写本 / 『楞伽経』 / 大乗経典 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は『楞伽経』の校訂の仕事として、中国語での発表(在中国、オンライン)を行い、その論文が中国語論文集に掲載された。それは、本研究での研究成果を応用し、『楞伽経』第一章に関して、5つの写本と漢訳、チベット語訳、さらには2つのチベット語注釈書を参照することにより、13の偈頌に関して15の訂正案を提示し、全く新たな部分的校訂テクストと理解を提示したものである。思想研究の面では、ヴィマラミトラの『般若心経』注における中観と唯識の論争を解明するなかで『楞伽経』の果たした役割について再確認した。 研究期間全体では、当初の計画を修正しつつも、着実な成果をあげることができた。当初は『楞伽経』の写本の中で最古で唯一の貝葉写本であるT写本をもとに校訂を行う予定であったが、同写本は部分的であり、また、必ずしも最良の読みを伝えているわけではないことが、研究が進むにつれて明らかとなったからである。さらにはSchmithausen2020の登場により、『楞伽経』の第8章に関して、サンスクリット諸写本の年代や重要な写本についての確かな見解が提示された。本研究でも、第2章という別の章に関して同様の結論に到達し、さらにはRy写本が後代のいくつかの写本の元となったことも解明した。これにより、30ほどもある『楞伽経』のサンスクリット写本のうちで重要な5つほどに確定されたことになる。これらは問題の多い『楞伽経』のサンスクリットテクスト確定のための今後の礎となると確信している。また、当初の予期の通り、チベット語訳とチベット2注釈書の重要性も確認することができた。
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Research Products
(8 results)